くさむすび

不死身ラヴァーズのくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

松居大悟監督作ということで予備知識入れず鑑賞。主人公が初っ端から愚直に好きをぶつけるので、人を好きになることについての映画だと思っていたら、実は失恋の映画だったのには一本取られた感じ。

自分は割と早い段階でこういう考察を立てて見ていた。
「甲野じゅんは実在していると同時に、長谷部りのにとっての恋の擬人化でもあり、恋に恋する長谷部が両思いになることで甲野の存在が消える=りのの恋が冷める、恋心が消える、本物の甲野は病室にいた子供と記憶障害の甲野のみ」という読みを立てていたので、ネタバラシの初期段階では「俺の考えと同じじゃん!」と少しガッカリしたけど、それ以上に色んな甲野が消えた原因がりのが失恋の記憶から目を逸らすためだったのが想像の上を行って良かった。痛み、喪失、切なさ。これらがあってこそ恋であることを、向こう見ずな好きの感情を前半で強調させるからこそ際立つ。ストーリーが素晴らしかったし、最後の別れることを受け入れたりのが直ぐに告白の申し入れをするのも本当に良い。失恋の映画でありながら、その痛みを乗り越えて次の恋が成就する前向きさも好き。良い意味で『ちょっと思い出しただけ』のようなエモさを廃した恋愛映画。

見上愛さん、めちゃくちゃ良かったけど、中学生時代のりのを彼女にやらせるのは流石に無理があったと思う。セーラー服の中学時代からブレザーの高校に進学したとは最初理解できず、作品自体のややこしさもあって「これマルチバースの話?」と思ってしまった。
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