くさむすびさんの映画レビュー・感想・評価

くさむすび

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パレード(2024年製作の映画)

3.2

『パレード』と『青春18×2』は連関性があって、ネタバレになるのであまり言えないが、演出とか一個一個の要素など多く類似点を見出せる。話としては登場人物が多く、その分各々のストーリーも多岐にわたって展開>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画を理性的に語ることは自分にはできない。多分自分史上一番泣いた映画かもしれない。
先日見た藤井道人監督作『ヴィレッジ』の後出しジャンケン感があって好きになれなくて、今作のアミの死もその側面があっ
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

途中までは"屈折しながらも生き続ける横浜流星と、それを支える黒木華。その関係に嫉妬する一ノ瀬ワタル"みたいなシンプルな構図が続くので、社会問題を描く作品かと期待していた自分には少し期待外れな面があった>>続きを読む

シティーハンター(2024年製作の映画)

3.5

シティーハンターはラショー版にしか触れたことがないので、ふざけてはいたけど相対的に見れば真っ当に進んだ映画だった。ただ冴羽獠が最初から薄情な奴だなとか思っちゃったし、全編通してあんまり好きになれなかっ>>続きを読む

幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.7

中盤にとある事実が明かされてからも、「この映画はどこに運んでくれるのだろうか?」というワクワクがずっと持続していくのが凄い。根深い搾取構造には暗澹たる気持ちにさせられるし、純朴な人間性だけではどうする>>続きを読む

マイ・スイート・ハニー(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

討論会の場面を除けばそこそこ良い映画だった。気になる異性を落とそうとする女性と、ナチュラルに思わせぶりな態度を取るユ・ヘジンの一進一退の攻防が面白い。ドライブインシアターで携帯の電源を切る動作や、チキ>>続きを読む

犬猿(2017年製作の映画)

4.3

吉田恵輔を好きな理由が今作には詰まっている。『空白』よりは『神は見返りを求める』系統の吉田作品。気まずいけど笑いが生まれる会話劇とナチュラルにおかしさを持ったキャラクター達を生み出させたら右に出るもの>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

思いの外楽しめた。最初の記者のわざとらしい説明台詞のラッシュには不安を覚えたが、「この話が伝えられている=記者は役目を果たした」とも取れる構成になっていたのは感動したし、普通の人間 水木&幽霊族 ゲゲ>>続きを読む

PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ(2022年製作の映画)

4.2

時代的にもパク・チャヌクの『お嬢さん』をなんとなく思い出したり。スパイ探し映画ではあるけどスパイ探しがメインではなく(ユリョンは冒頭で割れるし)、各人がそれぞれを疑い合い複雑に事情が絡み合うドラマが主>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.5

メンタルの調子が良くない日に見る映画では無かった。子供が超能力を得る非現実的な話ではあるんだけど、超能力を持たない通常時での純粋な悪意と、各々が覚醒して能力を使いこなすまでをじっくり描いているから、フ>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

3.4

自覚、認識、他者を知った気になること。前々から薄々勘づいていたことだけど、自分が詩の暗喩を読み取るのが苦手だと言うのを決定付けられた。2部冒頭の詩、野口さんの詩とか何を言いたいのか全然分かんない。でも>>続きを読む

ヒンターラント(2021年製作の映画)

3.8

戦争の影響で病んだ帰還兵と猟奇殺人の謎を解明するミステリーとの融合が上手くいってる。全編CGとだけあって違和感はありありだが、数年捕虜収容所にいた兵士たちが母国に戻ってきたら見違えるような国になってい>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

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NHKBS 世界のドキュメンタリーで鑑賞。これは何を差し置いてでも見る価値があると思う。
『娘は戦場で生まれた』を思い出した。民間人を無慈悲に攻撃するロシア軍。子どもですら無惨に命を落とす様子に思わず
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苦い涙(2022年製作の映画)

2.0

ファスビンダー版未見だからか、面白さが分からなかった。レビュー読んだ感じ、多分元を見てないと楽しさが分からなタイプの映画なんだろう。
そこそこのキャリアを積み重ねているであろう映画監督ピーターと、まだ
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辰巳(2023年製作の映画)

4.1

108分、一瞬も気が緩むことなく引き込まれた映画だった。筋書きはとてもシンプルなんだけど(悪く言えば平坦)、演出と演技が本当に素晴らしい。
序盤から「『ケンとカズ』の監督だなー」と思わせる遠藤雄弥と藤
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

2.6

このシリーズとは相性が悪い。前作も寝たが、今回も1番の盛り上がりとなる場面で寝る一歩手前まで行った。
舞台設定が地中奥深くというのもあるからか、人間が蚊帳の外に追いやられている感じがあり、それ自体は構
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マッドマックス(1979年製作の映画)

2.8

『フュリオサ』予習。
チェイスシーンは面白いけど、肝心の展開が遅くてしょうがない。続編ありきの作品なのかもしれないが、1本としての満足度はまるでない。マッドマックスはFRしか見たことないのもあって、雰
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.4

分かりそうで分かんない。脚本は高橋知由だけど、突発的な暴力性(今回は会話ではなく、物理的なものとして)は相変わらず濱口作品の緊張感。触れるという何気ない行為が恐ろしく感じる2つのシーンは鳥肌もの。正直>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

3.8

避暑地で14歳の少年が年上の女性に恋するというありがちな設定ではあるんだけど、奇妙な湖の噂や幽霊についての話など、ずっと漂っている死の気配が瑞々しさをかき消していてそこが好みだった。「結局何の話だった>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

変貌した日岡を完全に食った上林の極悪っぷり。大上からのパワーダウンは否めない。でも瀬島の家のシーンで、今作の楽しみ方が分かった気がする。とある一言が図らずも大上という刑事に対する見方みたいなものを少し>>続きを読む

宇宙探索編集部(2021年製作の映画)

1.2

フェイクドキュメンタリーなんだけど、映画の中の製作陣と被写体の関係性がよく分からない。被写体に近い割にカメラマンは声を発さないのが気になるし、それがノイズになって映画に入り込むのを妨げているような気が>>続きを読む

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

3.3

1作目はパク・フンジョンの中でも面白くない方に分類される映画だと個人的には思っているので、2作目に当たる今作は映画館で見なかったんだけど、前作みたいな早送りしたくなるほどの退屈な話運びはなく割と楽しめ>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

3.0

これが『Saltburn』や『聖なる鹿殺し』の源流か。ヌルッと始まり、ヌルッと物語を展開していくのが気味悪い。バカなのでこの映画に込められた深い意味合いなどは全くピンとこなかったが、ストーリーを追って>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

大林版『異人たちとの夏』に乗れなかった反動か、今作はしっくり来た。特に後半の両親との別れのシーンは主人公が別れを切り出すのではなく、両親側から別れを告げるアプローチがすごい良かった。だからこそ突然やっ>>続きを読む

べネシアフレニア(2021年製作の映画)

3.3

外面は普通のヴェネチアの街並みだけど、内面はオーバーツーリズムに対する市民の嫌悪感情が募りに募って過剰な抗議活動に発展する一種のディストピア的な世界観の居心地の悪さ。最初は「そこまで目くじら立てなくて>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.1

『異人たち』予習。
ファンタジーとしては曖昧な所にハマれず、真相も予想の範疇だった。けど終盤の強烈さは完全に予想外だし、残酷ながらも美しい愛の話は胸にくるものがある。死が一つのテーマでありながら、生の
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ポーカー・フェイス/裏切りのカード(2022年製作の映画)

2.8

テンポ良く進む編集によってサクサク見れるし、ポーカーで巨万の富を得た設定が、終盤の命懸けの心理戦に説得力をもたらしているのも良かった。
ただストーリーが悪すぎる。新鮮味が全然なく、どこかで見たような要
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

4.9

レア・ミシウス作品でお馴染みノエ・アビタ演じるタルラ、深夜ラジオに救われた映画好きって、完全に俺じゃんと思いながら感情移入してしまった。
シャルロット・ゲンズブール演じるエリザベートは、自分自身も辛い
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

3.5

想像以上に変な映画。途中まではのれてなかったんだけど、登場人物全員イカれている事実を受け入れてからはそこそこ楽しめた。
パブロ、指輪、パプリカチキン、鶏、ポレットを追う姉、ストライキで自由を求める人々
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オールドマン(2022年製作の映画)

1.5

単純な疑問だけど、なぜジジイ目線オンリーで話を進めようと考えたのかが気になる。どう考えてもこの手の話なのにジジイ目線しかない時点で一筋縄ではいかないことが開始数分で分かるし、それを悟らせないためにもジ>>続きを読む

聖なる復讐者(2022年製作の映画)

2.9

"狂犬"という名の教官のもとに、あらゆる暴力が許容されている少年院で復讐を企てる中で、弟を救えなかった過去への贖罪。そして自分に対する戒めのように、返り討ちを覚悟で所構わず自暴自棄に殴りかかっていく。>>続きを読む

意志の勝利(1935年製作の映画)

2.3

ナチス・ヒトラー映画強化週間⑥。
プロパガンダ映画なのでつまらない所もあるが、ヒトラーの話術や国民のモチベーターとしての能力は天性のものがあったんだなと今作を見て実感する。「絶えず指導者は変わってきた
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

面白くはあるんだけど、見てて心踊らなかったのが正直な感想。実在するラッパーの話という事前情報からは想像もつかないような逆サクセスストーリーで笑った。若気の至りで薬を売ったり、暴力に走ったりするのは分か>>続きを読む

ヒトラーへの285枚の葉書(2016年製作の映画)

1.8

ナチス・ヒトラー映画強化週間⑤
上部だけの事実で物語が進行していくので、そこから見える心情の深層に肉薄しているとは到底思えない。例えば息子が戦死する前の生活とか、手紙を書く中での葛藤などを見せてくれな
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ゲキ×シネ「天號星」(2024年製作の映画)

3.8

初ゲキ×シネ。久保史緒里さん目当てで鑑賞。上映前に軽いあらすじを読んだくらいの知識で見たが、めっちゃ楽しかった。入れ替わりものなので、どうやって元の体を取り戻すかを試行錯誤する話かと思いきや、そこはあ>>続きを読む

貴公子(2023年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

パク・フンジョンは『THE WITCH』とかじゃなくて、一生ノワールを撮り続けてほしい。ここ数年の韓国ノワールでは断トツで1位。僕が考える傑作韓国ノワールに揃っている3つの要件①ドラマの面白さ②血生臭>>続きを読む

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