Omizu

ラグタイムのOmizuのレビュー・感想・評価

ラグタイム(1981年製作の映画)
4.0
【第54回アカデミー賞 脚色賞他全8部門ノミネート】
『アマデウス』ミロス・フォアマン監督がE・L・ドクトロウによる同名小説を映画化した作品。アカデミー賞では脚色賞など8部門でノミネートされたが無冠に終わった。

さすがミロス・フォアマン。息もつかせぬ展開で20世紀初頭のアメリカを上手く描いている。少々詰め込みすぎにも感じるが、一切飽きることなく鑑賞させる手腕は見事なもの。

消防士から嫌がらせを受けた黒人を中心に、この時代にはびこる社会の闇を多角的に描いている。

人種差別をきっかけに大事件へと発展していく様子をスリリングに描いている。常識的な白人もいる中、差別的な白人が暴走していく。彼のとった行動は過激ながらもごく真っ当だ。それだけにラストには胸が痛くなった。

人種差別というテーマを真っ向から描いており、当時のアカデミー賞には早すぎたか。作品賞に入ってもいいレベルの傑作に仕上がっていると思う。無冠というのはさすがに…

ミロス・フォアマンのキレが冴え渡る演出、ヒートアップしていく脚本、適材適所の配役など文句のつけようがない一作になっている。

現在AppleTVでしか観られないが、もっと広く観られるべき隠れた名作だと思う。
Omizu

Omizu