パケ猫パケたん

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版のパケ猫パケたんのレビュー・感想・評価

4.6
この映画も夢・幻

音楽はそれに相応しく、デ・パルマ作品常連のピノ・ドナジオ

🇨🇭スイスの映像の魔術師、ダニエル・シュミット監督作品

『デ ジャ ヴュ』 (1987)
🇨🇭スイス 🇫🇷フランス 🇩🇪西ドイツ
           97分


●スタッフ

監督・脚本協力 ダニエル・シュミット

原案・脚本 マルティン・ズーター

撮影 レナート・ベルタ

美術 ラウール・ヒメネス

音楽 ピノ・ドナジオ


●レビュー🐱

レナート・ベルタの撮影が美しい
そして、列車に揺られて、無限車窓に映りこむ、赤いランプに照らされた、ルクレツィア(キャロル・ブーケ💐👩✨)も存分に

物語は、若い記者のクリストフ(ミシェル・ヴォワタ)が、17世紀スイスの指導者イエナチュ(ヴィットリオ・メゾジオルノ)の遺骨を調査し、その非業な最期を究明していくドラマである

モノクロ画面の遺骨💀から始まるので、度肝を抜かれる、オイラ😿
遺骨は、謎の鈴を握っている

クリストフはイケメンで、美人妻ニナ(クリスティーヌ・ボワッソン)がいる
ニナが化粧台で、メイク💄をするシーンが、光と影と鏡面の演出でうっとりとする、また室内には、日本の能面が飾られている

骸骨の後の、お化粧の場面であるので、諸行無常な感じ、虚しいと同時に、短い命を燃やすような演出である そして、メイク💄の場面なので、当然に二面性を持つ

ニナの顔をよく見ると、美人なんだけれども、蓮っ葉な感じの顔、あぁ、ダニエル・シュミットは『ヘカテ』のローレン・ハットン👱‍♀️✨のような、コノ手の顔が好きなんたなぁって思う

個人的には、ルクレツィアが抜群の美人なので、ニナも妖艶な美女にして、クリストフとオイラ🐱をメロメロ😻に懊悩(おうのう)させる映画📽️にして欲しかったよ、惜しい

さて、記者クリストフは、イエナチュの謎を究明して行くに連れて、熱心の余りに17世紀の人物イエナチェとその近辺の、幻視(デ ジャ ヴュ)をしてしまう 
最初は眼前に演劇的に現れるのだが、
段々と、17世紀に、身体がタイムトリップする感じである

幻聴ならまだしも、幻視は、本人も怖いかとは思う

ダニエル・シュミットは古い建物の蠱惑的な描写が巧い、そして、丁寧に中世の人々を描いているので、リアルにデ ジャ
ヴュ感が味わえる 流石、映像の魔術師と呼ばれる所以である

鈴というアイテムは、ルイス・ブニュエルの『昼顔』(1967)の鈴の音を連想されて、何気にエロチックで、胸騒ぎがする

そして、この謎の鈴に導かれるように、
クリストフは、同じ時代17世紀、謎の美女ルクレツィアの命(めい)によって、タイムトリップをして、イエナチェを撲殺してしまう

ルクレツィアは、時空を超えた惚れた男前によって、親の敵を打つという本懐を果たす、完全犯罪の成立、そして、究極のファム・ファタールの完成🎭

木の上でファクをされるルクレツィア、そこでクリストフを見つめる眼差し

そして、妖しさの漂う仮面舞踏会でのルクレツィアの暗示の完成🎭
(ジャケットの場面です)


ラストシーンの、鈴の入った配達物は、ルクレツィアからクリストフへの、時空を超えた愛のプレゼントであろう
背徳的ではあるが、肉体的にはプラトニックに終わった叶わぬ恋の、そして、明らかな、ハッピーエンド💒
雪のように白い、マシュマロみたいなクッションが無限に降り積もってくる


映画史的デ ジャ ヴュについて

北アフリカ、モロッコを始めて魅力的に描いたのがシュミットの『ヘカテ』(1982)だと断言すれば、ベルナルド・ベルトルッチの『シェルタリング・スカイ』(1990)は、まさしく、そのエキゾチックな雰囲気を承継した作品であろう、デ ジャ ヴュ現象

過去への思慕、階級闘争、螺旋階段、及び、異空間・遠距離からの小さな配達物、ハッピーエンドへの誘い(いざない)は、シュミットのこの映画📽️(1987)と、ベルトルッチ『シャンドライの恋』(1998)と、同じく、後続しており不思議である

ベルトルッチにとって、ダニエル・シュミットは先行する影、いや、幻灯機であろうか

同時に、伝説、陰謀、謎の街、絵画、鏡などの意匠による、映画的メタファーの迷宮の様相は、ベルトルッチの『暗殺のオペラ』(1970)が「先行」していて、巨匠たち・魔術師たちの筆捌きと戯れに、喜悦と目眩(めまい)を覚えてしまう🐱❗


KBCシネマ🎦 (聖地枠)
シネマ1

2024ー49ー40


●シネマ世界旅行

スイスが舞台、監督もスイス出身なので、🇨🇭スイス映画📽️としました

12🇨🇦カナダ 『インフィニティ・プール』(2023)➡️【13🇨🇭スイス 『デ ジャ ヴュ』(1987)】➡️14🇳🇮ニカラグア 『マリア 怒りの娘』(2022)