人の心の内にある「思い」を、東かほり監督がせつなくも、またコミカルにも描写されている作品。
脚本も兼ねており、女性監督の女性ならではの視点で描かれていることにも気づかさられる。
オムニバス4話の内、女性からの愛の告白シーンが2話あるあたり。子供を亡くした母親の気持ちをさりげなく歌で表現したシーン。若くして伴侶を亡くし子供を女手一つで育ててあげた後、死後に新たな恋をする老婆。
死後をさまよう「未練」を持つ主人公だけでなく、残された人々の「思い」を描いている所に、原作にはない映画の面白みも発見しました。
ジャングルジムに巻き付け残されたエリマキは、実態ではなくその娘の想いであるのでしょうか。
1話の渉が引越しをしてゆくラストシーンで、やっぱりピルクル女とヨリを戻して結婚するのではないか、、、と視聴者に投げ掛けて終わるのもなかなか凝っていると感じました。
「まだ物語の中にいたい未練」を残した者達を、東かほり監督がその思いを「昇華」させてあげる作品として鑑賞いたしました。