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シネマ・ヴェリテのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

シネマ・ヴェリテ(2011年製作の映画)
4.0
ドキュメンタリー番組の被写体になったために崩壊した家族の実話と裏話。そして、まさかのまさかのまさか。このファミリーは素晴らしかった。最後のまさかをまったく予想できずに観ていたから、とても感動しました。

アメリカの象徴となる豊かな中流ファミリーの日常を映し続ける人気番組。家族が崩壊していくようにドキュメンタリーの盛り上がりを作ろうとして介入していくディレクター。最初から亀裂がありそうな家族をリサーチしていたのかな。

アメリカ人が憧れる「中流のアメリカンファミリー」は、全然中流ではなく、広大な敷地に住み、プールがあり、とてもリッチ。夫はアイビーリーグを出ていないが叩き上げの経営者。妻はアイビーリーグ出身で教育を受けた知的女性。頑張れば届くかもしれないアメリカンドリームを手にした家族。子供は6人、のびのびとカリフォルニアで暮らしている。

しかし、人は夢を実現した成功者を観て憧れるより、もっといじわるで嫉妬深い視点で観ていたことがわかっていく。

実際の家族の映像が時折はさまれる。格差婚の妻役のダイアン・レインが適役。トム・ロビンス演じる夫の浮気に耐え、家庭に収まっていたが、声をあげ始める。自立する女性を観客が求めていたかのように。夫はカメラの前で良き夫、頼れる父を演じているが、カメラは出張の多い夫を裸にしていく。

カメラが日常に入り込んでくることで家族は揺れ動く。

タイトルが秀逸。

シネマヴェリテとは、ドキュメンタリー映画であるが、観る者にあえてカメラの存在を意識させる手法。
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