Hiro

ファーゴのHiroのレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
4.0
「ファーゴ」
サスペンスなのにどこかおかしくて。でも全ての物事が悪い方へと転がり続ける。なんだかよく分からないけど凄く見入ってしまう映画でした。

名前だけは何度も聞いたことがあって、気になってはいたのですが初鑑賞…。なんて言ったら良いんだろう、この感じ。まず始まりがよく分からないし、主人公が何故あんな計画を立てたのかが分からないし、その後の彼の行動にも共感できるところなど一つもなく、ただただ無意味に命が消されてゆくばかりで。

サスペンスではあるんですが、ヒリヒリした緊張感はあまりなく、悲劇ではあるのに喜劇を感じてしまった。なんだこの人たち、みたいな。

嘘で構築された世界だったな〜と。主人公やその共犯者達は勿論だけど、主人公と妻の関係性だって嘘だったし(じゃないと誘拐なんて思いつかないし)、署長が会った昔の仲間も嘘をついていて。
保身のため、見栄のため、自らの欲のために何かしらの嘘をつく登場人物の中で、署長の彼女だけがきちんと自分の生活と自分自身を見つめていて、凄く良かった。

そして何より、こんな事件が実際にあったのか〜と鑑賞後しんみりしていたら、「こんな事件ないよーん」とエンドロールでやられてしまった。これも嘘だったか…。

1時間半の短い作品ではあるものの、密度の濃い素晴らしい作品でした。やはり雪とサスペンスは合う。
Hiro

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