さすが、ビリー・ワイルダー!笑っちゃうくらい描写がリアルでヒリヒリする怖さがある。この怖さは、俳優が演技だけじゃなく、リアルだからだと思う。
今は落ちぶれたサイレント時代の元スター、ノーマを演じる主演女優グロリア・スワンソンはリアルにサイレント時代の大スター。
古びた豪華すぎる屋敷でノーマと暮らす執事マックスはノーマの元夫で元映画監督。演じるエリッヒ・フォン・シュトロハイムは、実際にサイレント時代の映画監督。
ノーマがサイレント時代の仲間たちを家に呼んでトランプをするメンバー、バスター・キートン(!)、H.Bワーナー、アンナ・Q・ニルソンは、本当にサイレント時代のスターたち。
派手にカムバックしようとハリウッド撮影所に乗り込むノーマを昔のよしみで優しくなだめる映画監督をセシル・B・デミル監督が本人として演じてる。
この映画の配役自体がピリ辛のホラー・コメディだ。
極めつけだと思ったのは、ノーマが恋するウィリアム・ホールデンを喜ばせようとチャーリー・チャップリンに変装して、おどけて真似をする場面。あまりにそっくりすぎて、芸達者すぎて笑ってしまう。これはワイルダー監督のイタズラな、ホラーな笑いでは?と思った。
やけに肌がキレイ、低い身長、なで肩シルエットのチャップリンは女性なのか?ダブダブのズボンと、お尻が隠れるジャケットは女性のボディーラインを隠すため?なんて思ってたけど、このシーンを見て「ネタバラシだ!」と思っちゃった。どうなんだろ?
ビリー・ワイルダーが心ゆくまでニヒルな笑いを追求したある意味怖い映画。