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柳ケ瀬ブルースのblacknessfallのレビュー・感想・評価

柳ケ瀬ブルース(1967年製作の映画)
3.4
梅宮辰夫さんの"夜の歌謡シリーズ"の1作目だって。梅宮さんは東映の方針で二本立ての2本目の主演を張らせてB面スター化計画があって、このシリーズの他、夜の青春シリーズとか色々作られた、と。
知識としてはこれは知ってるんだけど観るのは初めてなんだよ。

夜の歌謡シリーズは歌謡なんで実際ある曲をベースにして撮られてる。これは美川憲一の柳ヶ瀬ブルースから。
映画の中に美川憲一が出てきて歌う。美川憲一なんて蠍座の女、それもコロッケのモノマネでしか知らないから、細面で中性的な人がそうだとは歌わないと分からないぐらい容姿が違ってた。でも、ヘアスタイルは同じだった笑
何とも不思議なオーラがあり、当時売れたのも納得、声もいいし。

で、内容は、梅宮さん演じるバーテンでスケコマシの男が夜の街を舞台に色と金を求めて色々やらかす色欲ドラマって感じ。

いやぁ、梅宮さんマジで最悪なんだよ。自分に惚れた女に色々な理由(嘘がほとんどw )で金を出させては振って、また金銭的に息詰まると、また別の女性に同じことを、、笑 基本、これだけの話。

ただ、女性の方も単にカモられるだけの被害者ではなく、逆に梅宮さんを利用したり、きっちり復讐する気丈な女性ばかりなんでミソジニーの犠牲者として画いてないので不快さは薄い、それでも不快なんだけど笑
要するに夜の街の手練れの男女の騙し合いなんだよね。

しかし、梅宮さん、マジで軽薄で金に汚いんだけど、妙なかわいげがあって憎めない。
この頃は仁義なき戦いの時よりスマートで顔の輪郭シャープで眼がクリッとして、色男然とした雰囲気がある。
だから女性も「こいついい加減でわがままだな」と思いつつ梅宮さんを助けてしまう笑
梅宮さんも自分のキュートさを自覚してるかのように「僕の眼を見てよ」と甘えた声で嘘を囁く。
特に金融屋の未亡人から自分の店を出すために大金の融資をお願いするシーンはヤバい。
役者というより、現役の結婚詐欺師にしか見えないんだよ。誠意を見せて毅然としたり、泣き落としを仕掛けたり、なんつっつーかいやな意味で輝いてた笑

しかし、この役で当時本当にスターになれたんだろうか?この頃東映は男性目線オンリーだから軽妙に女から女に渡り歩くのは羨ましいと言えば羨ましい。
ダメな男なんだけど、男の憧れの男の1つではあるんだよな笑
に、してもイメージは下がるよな、役者として笑

東映関係の本で、梅宮さんは監督達から人気があったという話が載ってて、何故かと言うと、どんな変な役やバカバカしい演出も文句1つ言わず演ってくれるから笑
高倉健や菅原文太さんは自己イメージや演出に拘りが強いから断れたり意見されることもあったけど梅宮さんは一切なかったらしく。
梅宮さんはいい意味で自意識が薄いし、根が遊び人で趣味人だから撮影は言われたとおりやってサクッと済ませ、趣味の釣りや料理、または女遊びをしたいって考えてて、映画や演技に過度な拘りはない人だからね。
仕事より趣味や遊びに情熱を注ぐ、梅宮さんの生き様、最高すぎる!

そんなイメージを気にしないで遊びが好きな梅宮さんだからこの役、すごいハマってた。普段女性といちゃついてるのを再現したような自然さがあったね笑

それと最後まで梅宮さんと騙し合いを繰り広げる野川由美子さんが今居ても違和感のない時空を越えた美人なんで驚いた!

あと、この作品を始め映画の中でたくさん女を泣かせてきた(プライベートもそんな感じだったらしいけど)せいってわけじゃないけど、数十年後に自分の娘の前に映画の中の自分のようなスケコマシの羽賀研二が現れるって運命の皮肉と映画の魔力を感じた😂

何気に見どころと考察できることが多くて、500本目がこの映画でよかったかも笑
レビューあげてるのおれしかいないし😂
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