singer

ヘブンズ・ドアのsingerのレビュー・感想・評価

ヘブンズ・ドア(2009年製作の映画)
-
この作品に期待していたのは、元となったドイツ映画「Kockin' On Heavens Door」を、
日本映画として、どんな風に見せてくれるのかという点でした。

でも、その期待は正直、あまり叶わなかったというような印象でしたね。

原作のルディ役を少女にしてみるというアイデアは面白そうに思ったんですが、
福田麻由子をキャスティングしたのは、ちょっと失敗だったかも知れないですね。
この子は若くして演技が出来過ぎてて、どうも表現が過剰になっている気がするんですよね。
だから、結構わざとらしく感じる部分があって、その点が気になってしまいました。

でもやっぱり根本的に、少女に置き換えるというアイデア自体が上手く行ってなかった気がします。
原作は、「ミッドナイト・ラン」へのオマージュも含めた、友情の物語だったのに、
それが男女になってしまうと、どうしても恋愛のイメージを観る者に植え付けてしまうし、
何かテーマが鈍ってしまって中途半端な印象が残ってしまったのが残念な所でした。
どうせなら、思い切って恋愛の方に振り切ってしまうと、新しい視点で観れたかも知れないんですけどね。

後、原作にあった軽快なテンポや、コミカルな描写も殆ど感じられなくて、
観ていて退屈に感じる所もあったのが残念でしたね。
道路でトレーラーが暴走する描写とか、地下施設のロケーションなど、
あまりストーリーに必要無さそうな部分があったのも気になりました。

海外作品のリメイクだからといって、海外の監督に任せなくても良かったような気もしました。
マイケル・アリアスの映像は、色彩感が鮮やかだったし、
勝人のオレンジと、春海のアクアブルーが、太陽と海のように感じられて、
いい色づかいだなと思っていたのですが、
あまりにスタイリッシュ過ぎて、ストーリー全体がファンタジーのように見えてしまったのが惜しかったですね。
なので、日本人監督でに任せて、日本的な解釈で描いても良かったんじないかと思う所もありました。

色々含めて、良い素材を上手く料理出来なかったという感じですね。
初めてこの作品を観る人なら楽しめるかも知れませんが、
原作を好きだという人には改悪に感じられる部分が多くて、不満の残る仕上がりなのではないかと思いました。
自分も、原作が好きだっただけに、正直言うと惜しいなぁと思う部分が沢山あったのが残念でしたね。
—————————————————
🎦こちらは2009年3月5日に、ブログに投稿したレビューです。
自分は「ミッドナイト・ラン」が人生で1番好きな映画なので、そこからのオマージュを強く感じられる、「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」もとてもお気に入りの作品です。
なので、日本でリメイクされるというのを聞いた時には、期待半分、不安半分な気持ちだったんですが、このリメイクは、ちょっと綺麗に行き過ぎた感はやっぱりありますね。
でも、当時注目の新人女優だった福田麻由子の新人離れした存在感は、その時代だったからこそという形で、しっかり残っているんだと思います。
自分もドラマ版の「白夜行」で、幼い頃の雪穂を演じた彼女を見て、「凄い女優さんが出てきたなぁ」と感じたんですが、着実にキャリアを重ねて、今でも女優として活躍している彼女を見ると、なんだか感慨深いものがありますね。
しかし、まだまだ25歳と若い女優さんなので、これからもキャリアを代表するような演技も見せてくれそうなので、期待したいところです。
singer

singer