久し振りに母と一緒に再鑑賞。
テレビドラマでは観たことがあったが、
大好きな優作さんと鶴田浩二さんを映画で観た初めての作品。
テレビドラマを含めてこの二人が共演したのは本作のみのはず。
超メジャーではありますが、私にとってはかけがえのない奇跡のお宝作品なのです。
単なる1つの映画として採点すれば、甘く見積もって★3.7ぐらいでしょが、個人的にはきちんとお二人のやり取りが見れるというだけで★5以外は考えられません(笑)
最後はあの詩のフルバージョンを抜粋しておきます。
年末に読んでも違和感なく浸れます。
母を父や祖父母に、また内容も様々な皆さん個々の出来事に置き換え読むと胸が熱くなります。
昔、全文暗唱できるように練習した日が懐かしい☆彡
~ぼくの帽子(帽子)~
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷(うすい)から霧積(きりづみ)へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆(きゃはん)に手甲(てこう)をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦(イタリーむぎ)の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
西條八十