貴婦人修行

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女の貴婦人修行のレビュー・感想・評価

4.7
ベロッキオベスト。ジョヴァンナ・メッツォジョルノの化け物じみた佇まいとその激情を何倍にも増幅させる照明にぶっ飛ばされる。ムッソリーニと視線が交差してないのにも関わらず不適に笑うファーストシーン、発煙筒が投げられても乳母車を守らない堂々たる歩み(全く顔が見えない)、精神科医に問い詰められる蒼白の顔、車に乗って無表情で居るかと思えば、発進した直後画面の向こうのこちらを見るようにほくそ笑む異様さ。
記録映像の上映会で士気が高まりすぎて乱闘が起こるのにピアノは止めない不自然な騒がしさや、病院から抜け出す全然知らない異常者が壁を登る(外部を見る)喜びが縦パンとともに広がっていくのが気持ちよすぎる…。乱暴なディティールの広げ方に魅了されてしまう。
精神病院のシーンの雪も途方もなく美しいが、柵を登って大量の手紙を舞わせるメッツォジョルノから息子の視線に繋げるのが大胆で良い。激情があらぬ瞬間に受け継がれてしまった。