18世紀に一世を風靡した実在のカストラート、カルロ・ブロスキ(ファリネッリ)が主人公の伝記物。
“カストラート”とはボーイズソプラノを維持するために、
子供の頃に睾丸を去勢された男性歌手のことだそうで、
当時イタリアでは毎年数千人の男の子たちが、教会の聖歌隊のために施術されたが、
医療設備が無い時代だったので、亡くなる子供も多かったのだそうだ。
また、カストラートは男性ホルモンのバランスが崩れる事から高身長で、女性的にふっくらする人が多かったが、
ファリネッリの場合は細めの高身長で、性格も、ほとんどのカストラートが高慢で自分勝手だったのに対して、非常に謙虚な方だったらしい。
しかし、作中の中では、誰よりも美しい歌声のお陰でヨーロッパ中の名声を手に入れようとも、普通の男としての幸せを無理やり奪われた弟の恨みは深かった…と、
実際に兄が居たのかは分からないが、余り実力の無い兄貴と対比させていたのが面白かった。
去勢してても性欲凄いんだ、とか、当時の貴族社会の退廃的な感じがムンムン伝わってきたが、私は顔を白塗りした男は受け付けられないと、ハッキリ分かった作品でした。