猫脳髄

怪談片目の男の猫脳髄のレビュー・感想・評価

怪談片目の男(1965年製作の映画)
3.2
製作年が同じで混乱するが、東映の「怪談せむし男」(1965)に続き、西村晃を主役に据えた怪談モノ第2弾に位置づけられる。佐藤肇による「せむし男」がれっきとしたホラー映画だったためか、本作は趣向を変えて、怪奇趣味ではあるが基本線はスリラー・ミステリーとなっている。

西村晃扮する会社社長が水死体で発見され、妻の中原早苗、その愛人の川津祐介、専務の三島雅夫らが駆けつける。別荘で遺言書の到着を待つうちに、幼い少女や車いすの女性ら見知らぬ来客が到着する。遺族たちが疑心暗鬼になるなか、ひとりが食事に毒を盛られたと騒ぎ出し、さらには別荘内に神父服姿の怪人が出没する、という筋書き。

怪奇からミステリまで各所からアイディアを拝借(車いすネタはセス・ホルト「恐怖」(1961)からか)してモリモリのシナリオ、今では結構雑に感じるハメ込みモンタージュなどの特撮、さらに西村晃のアクの強い演技と、サービス精神旺盛なのはいいが、ごった煮に胃もたれしそうになる。

ハマー・フィルムやロジャー・コーマン、マリオ・バーヴァなどに遅れることわずか、変奏ながら洋館をモデルにした本格怪奇映画がわが国にもあった、という点は記憶されてよい。

※東映オンデマンド
猫脳髄

猫脳髄