Jimmy

条理ある疑いの彼方にのJimmyのレビュー・感想・評価

条理ある疑いの彼方に(1956年製作の映画)
4.3
フリッツ・ラング監督が「ある男を殺人犯に仕立て上げて、裁判で有罪になるか?」、つまり「無罪の男を犯人に見せかけた冤罪ケース捏造して、有罪判決が出される前に『実はこの男は犯人じゃないんだよ!』と世間に知らしめようとする物語」を、驚くべき展開で描いたサスペンス映画の快作!

原題は『Beyond a Reasonable Doubt』であり「条理ある疑いの彼方に」という邦題であり、「なんだか難しい映画の雰囲気」が漂っているが、内容はいたってシンプル。
冒頭はある男の死刑執行シーンから始まる。これは、新聞社の社長スペンサーが作家トムと一緒に死刑執行に立ち会ったのだ。スペンサーは新聞で死刑反対を主張していたが、次々と死刑が行われていたから…。
スペンサーは「無実の人間に死刑執行される可能性があることを世間に示したい」と言って、その時新聞に載っていた女性殺人事件の犯人の手がかりが無いことから、「トムを犯人に仕立て上げ、裁判の時に『実は無罪だ!』という証拠を出せば、冤罪を減らせるのではないか?」と考える。
そして、その女性殺人事件に関する情報を、自分の新聞社で調べさせ、犯人の乗っていた車・帽子・コートなどの色や特徴を知り、犯人と同様のそれらの物を揃えるのだが、それらの物を購入する場面をポラロイドカメラで「犯人でっちあげ証拠」として撮影する。
こうしてトムは極めて犯人に近い格好をして、殺された女性と同僚のダンサーに近づき、怪しい男と思わせて警察に逮捕されたのだった。
そして、トムの裁判が始まるのだが、トムは「自分は作られた殺人者だから…」と余裕を見せていた。しかし、トムの裁判に「犯人の証拠偽造したポラロイド写真」を持って行こうとしたスペンサーが、裁判所に向かおうとした時にトラックと衝突して車は炎上、なんとポラロイド写真も燃えてしまう。
トムは一体どうなるのか……?

…といったサスペンス映画。
さすが、フリッツ・ラング監督であり、目まぐるしい意外な展開見せるドラマを80分で見せてくれる。

トムを演じるのはお馴染みダナ・アンドリュース、トムの恋人にはジョーン・フォンティンで綺麗!

殺人犯人を仕立て上げて冤罪とされるかどうかをハラハラさせながら、男女のロマンスも描くあたりは、さすがフリッツ・ラング監督。
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