アリバイ

宗方姉妹のアリバイのレビュー・感想・評価

宗方姉妹(1950年製作の映画)
3.8
姉周りの人間関係を軸に、古き良き女性像を体現する姉と奔放で新しい考えを持つ妹が描かれる。
”古き良き女性”というのがどういうものなのかをはっきりと理解させてくれた、思いのほか後まで心に残る作品だ。
夫婦という共同体を長続きさせるために、夫の浮き沈みを察知して自分ができることをする。”古き良き女性”とは、しなやかで、強くて、優しい女。男にとってはこの上なく都合がいい女。
しかしそんな女の心の中には、いつか夫もわかってくれる、という期待が込められている。この期待の感覚は女性特有のものなので、大体の男はそんな思いに気が付く訳もない。この映画でもそう。こじれるとお前が勝手に色々したんじゃないか、俺には関係ない、となる。だから、女の我慢の裏の期待に、男が気が付くかどうかに夫婦の行く末がかかっているのではないかと思った。
勝手に期待して身を粉にして尽くす女も女だし、勝手気ままに振り回しておいて大切なことに気が付かない男も男だ。
だから田中絹代も山村聰もなんだかなぁって思った。
上原謙もなんかボーっとしてて嫌い。高峰秀子のコメディ調がすごく映えていて楽しい。
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