8Niagara8

宗方姉妹の8Niagara8のネタバレレビュー・内容・結末

宗方姉妹(1950年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

溌剌で、快活な高峰秀子。諦観さえ感じさせる田中絹代。両名女優を筆頭に俳優陣の勝利。

相も変わらず小津は残酷である。
他の作品と比べて戦争による世代の分断が顕著に見られる。新しいとは何なのか。それに馴染むことが要求されるのは正しいのか。右に倣えのような潮流に対するクエスチョンが大胆に横たわる。
山村聰は冷酷でありつつ、彼だけでなく上原謙もどこか血が通ってないように映る。
はたまた三者三様に女の強さを描く。
加害性を帯びながら、死んでは狡いではないか。残されたものに少なからずしこりを生む。それでも時代だけは変わっていく。
そこには戦争を引き摺るかのような雰囲気もあり、しかし、ここで小津はあくまで戦争の隔絶を認めながら、その前と後という区切りはしていないように感ずる。
古くならないことというのはどうも小津の精神性を評しているように思えてならなかった。時代的隔絶はありながら、普遍的であることこそが新しいという意味合いに繋がるのではないか。
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