デイジーベル

パラダイムのデイジーベルのレビュー・感想・評価

パラダイム(1987年製作の映画)
3.6
「決して解けない——、呪いがある。」

◯作品と概要◯
全編カーペンター節に溢れていて、カーペンター好きなら確実に楽しめる作品となっている。「オカルト×SF×監禁×乗っ取られ×虫×恋愛」とにかくジャンル分けが難しいB級ホラー作品。「遊星からの物体X」「パラダイム」「マウスオブマッドネス」のカーペンター終末三作品を語る上でも外せない作品といえるだろう。80年代を感じるカーペンターによる素晴らしいエレクトロミュージックも健在(音楽面で最も影響を受けているのは作曲家「ジェームズ・バーナード」で彼の50〜60年代全ての音楽が好きと言っている。)

◯ストーリー◯
_(┐「ε:)_ サタンが水を吹き出しながら、現界(復活)しようとジタバタしてるのを、神父と博士と学生達がなんとか阻止しようと奮闘する物語。(「世界の命運がかかってるのに、学生のボランティアに任せて大丈夫なのかっ?」と、きっと突っ込みたくなる事でしょう)

◯感想◯
前半の「科学」と「宗教」の関連性などが少々解り辛く、物語への没入には少々難があったが、不吉な予兆や伏線(ホームレスが一点を見つめて建物を取り囲む姿は「SFボディースナッチャー」の様な不気味さを感じさせる。)は良かったし、中盤以降の盛り上がりと″楽しさ″は素晴らしい。(遊星からの物体Xの様な恐怖やドキドキ感とはまた違う″楽しさ″がある。)カーペンターらしいシンプルで魅力的な演出や詩的映像。更に特殊メイクや虫の使い方、見せ方にも抜かりがない。後半はさながらゾンビ映画の様な展開になり、女学生ゾンビに対する情け容赦のない攻撃には思わず笑ってしまう。決着はなんともいたたまれない終わり方だが、カーペンターらしいオチに救われる気がする。最後にこの作品の名(迷)台詞で感想を終えようと思う。

「私が阻止した。」


◯雑記◯
今作の脚本担当マーティン・クォーターマスは、ナイジェル・ニールに捧げたカーペンターの別名義であり、今作はナイジェル・ニール原作のクォーターマス博士の映画シリーズに捧げた作品らしい。(ちなみに未見です)

カーペンターマニアである「鷲津義明」さんは、こう語っている。【暗黒の王子を封じ込めた円柱のカプセルは″男根″を想起させ、そこから発射された液体を″精液″の″暗喩″だとすれば、その液体を吸収したケリーが受胎し妊娠したことは容易に納得ができてしまう。】…という事で、嘔吐シーンをエロティックに感じてしまう事があってもそれは当然なのかも知れない。(´ω`)