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海潮音のqqfowlのレビュー・感想・評価

海潮音(1980年製作の映画)
4.0
陰鬱でBGM少なめな雰囲気が好きだった。ストーリーは、ちょこちょこ分からないところもあったが、狭いコミュニティーの中で女性が身近な男性に襲われがち(そしてその噂はすぐ広まる)というおぞましさは、何となく昔聞いたことあるあれこれと合致して、現実感があった。ちょっと憂鬱になる映画だったが、若き日の泉谷しげるさんがインテリの二枚目的な役で出ていて、それはすごく新鮮だった!そう言われてみると、微妙にタイ俳優のOff君に似てるな~なんて思った。

~~~以下ネタバレ~~~

物語の核心部分の、主人公の女子中学生の母親の死に関しては、情報が断片的で、残念だった。戦後傾きかけていた旧家の当主である父親に地元から半ば強引に連れ出され、どこかで過酷な労働をさせられ、1年後帰ってきたときにはすっかり体を壊していたこと、主人公が4歳の時死んだこと、その頃父親はお手伝いさんと不倫してたことしか分からない。死ぬほど体を壊していたのにどうして娘を産んだのかが一番の謎。

でもまあ、母親が死んだのは、クセ者の父親が原因なんだろう。死ぬほど尽くしたのに家の中で不倫されて、生きる気力を失ってしまったのかも。

クライマックスで、父親が記憶喪失の女性に無理やり襲いかかっているところを見て、主人公はとっさに父親を殺そうとする。主人公は強姦されそうになった経験があるからこれは自然だと思った。でも女性まで殺そうとしたのは、母親が亡くなった頃父親と不倫してたお手伝いさんと重ねて見てしまったから? 殺すのをやめたことで、彼女はあの後自らの女性性嫌悪と折り合いをつけることができたんだろうか……。
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