ヒッチコックによるサスペンス映画の金字塔『サイコ』の23年ぶりの続編。前作で精神病棟送りとなったノーマン・ベイツが退院。久々にモーテルへと戻り社会復帰を図る彼だったが、彼を貶めようとする存在、そして幾度と起こる異変と殺人事件により、彼の心は再び蝕まれていく。
ホラー色の強かった前作とは打って変わり、かつて世間を騒がせた精神異常者の社会復帰、そう簡単に治療の出来ない心の病気と向き合うノーマンがリアルで、救いのないドラマパートは中々良かった。どれだけ完治したと思われても、やはりあの呪われたモーテルに戻るという選択肢1つで一気に人生が狂わされていくのだ。
変に恋愛要素を絡めるわけでもなく、前作で悲惨な結末を迎えたマリオン・クレインの妹ライラの娘メアリーの正体が明らかになり、前作以上に真犯人が読めない二転三転するストーリーが見事。前作と趣は違えど、前作とは違うサプライズとスリルに満ちた続編であることには変わりない。映像表現や脚本、特に結末のインパクトは前作が上だが、本作の方を好むファンが多いのも納得である。
