とうじ

エルム街の悪夢3/惨劇の館のとうじのレビュー・感想・評価

3.5
エルム街の悪夢2は、淫らで残酷な不条理に陶然としながら、その退屈さのヴェールに包まれた魅惑がなかなか心に残る、メジャーのハリウッド作品とは到底信じられない怪作(決していい出来ではない)であったが、それに比べて本作はかなりの優等生である。
優等生すぎてカルト的な危うさに欠ける感じがしないでもないということはもってしても、チャックラッセルが「マスク」でも作り上げていた、現実から逃避するようなカートゥーン的世界観が「エルム街」のレガシーと相性が抜群に良いのは誰も否定できないであろう。
また、「自傷行為」というのが本作の裏テーマにある。眠らないため、夢から覚めるために自分の体を傷つける行為というのが、物語上の韻となり、ビカビカで明るい映像世界を暗く包みこむ。
実は、苦しみながら夢と対峙するという点では甘酸っぱい青春物語として普通に見れるし、「フレディをリンチした親の罪を償う」という一作目の設定の裏に隠れていた、大人になりきれていない若さの可能性に対する不安が、本作ではより強く本筋と共鳴していたと思う。
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