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ブラックブックのmocoのレビュー・感想・評価

ブラックブック(2006年製作の映画)
3.5
第二次世界大戦モノはたくさん見てきたけど、オランダ側から描かれた映画は初かも。思わずヨーロッパの地図を確認。今までオランダ側から描いた作品に出会えていないのが不思議な程、モロにドイツが欲しがる立地で、しかも面積的にも勢いのあるドイツからは余裕に見えて、格好の獲物じゃんと。終戦ギリギリ迄苦しんだであろうことが地図を見ただけで想像できる。

実話から着想を得た物語で、
お金持ちの主人公が偽レジスタンスに騙され、レジスタントとして人を助け、過酷過ぎる数年を経験し、最後には平穏を掴み取る?!?!というお話。

本作はドイツ軍に勝つための大作戦というよりは、騙し騙され翻弄する姿をローカル目線で描く。彼女の聡明さや過酷な役割がテンポよく描かれ、彼女の苦悩は薄めの演出。だから、そこまで感情移入せず、悪魔に立ち向かった人達に勇気を貰えるよう描けている気がする。滅入る戦争映画では無い。そういう意味では、事実モノでも珍しい鑑賞の仕方が出来ると思う。まー、色々見すぎて自分の感覚が鈍っているのかもしれないから、特殊な意見かもしれないけど。
オープニングからプレイバックするので、命の保証があったから落ち着いて見れたというのも大きいかも。

戦争は、全国民、老若男女を問わず大変な思いがあるのは当たり前だけど、この主人公の信念の強さは勇ましかったな。主人公の女性ならではの任務と命の守り方は、見ていて辛い部分もあったけど、その時代の若い女性の苦悩がよく理解できた。
娘を持って、戦争がより憎く、なんとしてでも負の連鎖が起きないようにしたいと、戦争映画を見て毎度願う。


タイトルは松本清張の黒革の手帖と全く同じ意味があって、少し驚き。
黒革の手帖を持った人には気をつけろ!
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