けーはち

同胞(はらから)のけーはちのレビュー・感想・評価

同胞(はらから)(1975年製作の映画)
2.2
岩手県の寒村で青年会が演劇を主催する。

山田洋次監督の永遠のマドンナ・倍賞千恵子、劇団の代表として「ふるさと」をテーマにしたミュージカル演劇の企画を当地に持ちこんで、主催、つまり資金繰りや宣伝、運営などの負担を全て村の青年団に委ねる形にしたいという。

常識的に考えてスター俳優がいる訳でもない何処の馬の骨ともつかぬ連中がやる、そんな怪しげな興業にベットできる訳ないのだが、青年会会長・寺尾聰は劇団の熱気に絆されたか「失敗したらオラがベコを売って弁償する」とか言い出す。それを当然のようにいけしゃあしゃあと受け入れる劇団側はさしもの倍賞千恵子の清純可憐さをもってしても詐欺師よろしく悪辣で、ドラマの肝要な部分に気持ちがついていかなくなってしまうのであった😅(童謡、民謡に多様な楽器を交えジャズでオシャレに、みたいな劇中劇のミュージカルはまあ活き活きとして良いです🙆)

「明らかに正しい改善・進歩がもたらされるのに頑迷な人々がその導入を妨げるので、情理を尽くし説き伏せ、時には自己犠牲を払ってでも困難を克服する」みたいな類型にしたつもりなんだろうが、寺尾聰がベコ売ってまで演劇やるのがそんなに良い話と私には見えないところが難点だなぁ。地方に文化をもたらしてやるのが善という、啓蒙思想、傲慢とも思う。まあ、これは情報網・娯楽産業の発達した現代人の感性やも知らぬ。