KITAYUMASSACRE

ニンゲン合格のKITAYUMASSACREのレビュー・感想・評価

ニンゲン合格(1999年製作の映画)
4.5
本作の主人公、吉井豊は非常に空虚な人間だ。10年間昏睡状態に陥っていたため、自分が周りにとって何者かが分からない。そして何をすべきかも分かっていない。昏睡していた豊だけではなく、周りの人間たちも確かに何をすべきか分かっていないようだ。そしてこの映画を見ている我々もまた、そうである。
この映画のラストで豊は「自分はちゃんと存在した?」と尋ねる。役所広司演じる藤森が「確かに存在した」と答える。
豊は確かに存在したのだ。藤森以上に観客は豊の姿を見て、その存在を感じ取った。他のうつろな登場人物たちも同様に存在した。
映画はどれだけうつろな人間、たとえそれが幽霊であったとしてもカメラに映してしまう。それは映画の特性であり、優しさのようにも見える。
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