似太郎

江分利満氏の優雅な生活の似太郎のレビュー・感想・評価

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)
4.8
山口瞳の原作を岡本喜八監督が遊び心あるペーソスの効いたシナリオ&演出で映像化。

主演の小林桂樹がだらしないが憎めない企業マン(江分利満)を演じており、過去の戦争の悲惨さから脱皮して一人戦後社会を生き抜いた男の一代記が語られる。

中盤でアニメーションを挿入したり(『下妻物語』?)特殊なカット割を用いたりと、喜八監督らしいポップで楽しい世界観はこの頃の貧乏臭い邦画とは一線を画す出来栄え。これが『日本のいちばん長い日』や『肉弾』になると説教臭くなるのだが…。

ラスト近く主人公が飲み会でダラダラ一人語りをするシークエンスはいつ観ても笑わされる。会社内の師弟関係を描いた映画という意味で、黒澤明の遺作『まあだだよ』と見比べてみるのも一興。どちらも皆に慕われる「師」の存在感が発揮されていて実に温もりのある作品に。

小林桂樹の飄々とした魅力が爆発した、喜八監督の中でもエスプリの効いた高度成長期に於けるサラリーマンの戦後一代記。笑って泣ける風刺エンターテイメントの決定版‼️ 人生の喜怒哀楽🍂
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