はぐれ

エルミタージュ幻想のはぐれのレビュー・感想・評価

エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)
4.4
ずっと見たかった本作。まさか配信レンタルされているなんて知らなかった。

エルミタージュ美術館で何千人ものエキストラを入れてのワンシーンワンカット撮影を行うというマジキチな企画。ソクーロフってやっぱ狂ってるわ。
聖書マウント爺さんとカメラマンである人物が会話しながら迷路のような館内を徘徊するという作り。同じくワンシーンワンカットを売りにしている『ロープ』『1917』『バードマン』などの設定と比べてもこちらの方が無理がなくスッと入ってくる。

圧巻はやはりラストの舞踏会のシーン。宴が終わりゾロゾロとエルミタージュを後にする貴族たち。その中のひとりの令嬢が「これが人生最後の舞踏会のような気がするわ」と口にする。そう、翌年にはロシア革命が起こり彼らは処刑されたり地位を剥奪されたりして2度と舞踏会へは戻ってこれなくなる運命なのだ。
それを残虐なシーンなどを一切見せずに絢爛豪華な宴のシーンの行間に忍ばせた監督の手腕。映画館で観たかった。
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