はぐれさんの映画レビュー・感想・評価

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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

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市民病院へ向けられる戦車の砲塔。瓦礫の山と化す産婦人科の病棟。1歳にも満たない赤ん坊に施される心肺蘇生術。

AP通信の記者の命懸けのウクライナ侵攻の真実の記録。息をするのも忘れてスクリーンに釘付けに
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うたうひと(2013年製作の映画)

3.1

みやぎ民話の研究家を追った濱口竜介監督のドキュメンタリー作品。

劇中にも登場したお殿様の物語じゃないが、民話はひとりだけでは実は成立はしなくて、聞き手のリアクションや合いの手があってこそ成り立つもの
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.3

濱口竜介監督の最新作であの『ドライブ・マイ・カー』の次の長編作品。

不穏なほど美しい雪化粧の残る大地や木立の映像とこれまた胸騒ぎを覚えるほど美しい石橋英子のストリングスの響き。人知の及ばない異様な世
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ナイン・マンス(1976年製作の映画)

4.1

ハンガリーの映画作家メーサーロシュ・マールタ監督作を初めて鑑賞。

この監督さんとにかく人間の描き方が辛辣で鋭い。嫉妬深くて幼稚で器が小さくて男尊女卑の思想に浸かりまくってて人間として1ミリも魅力がな
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クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(2019年製作の映画)

3.3

タランティーノの作品を時系列で追っていくドキュメンタリー。レザボア・ドッグスやパルプ・フィクションなどの逸話はある程度知っていたが、あまり語られることのないジャッキー・ブラウンやデスプールなどの話が聞>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

1.0

「罪を犯しておきながらそれに同情しろと言うの?」

これは不倫相手に自殺されてふさぎ込むオッペンハイマーが妻から言われるセリフだが、この言葉を監督のクリストファー・ノーランにそっくりそのまま返してやり
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.5

女性版の『大統領の陰謀』

ハーヴェイ・ワインスタイン事件をスクープしたニューヨーク・タイムズの2人の女性記者を追った映画。話の筋立て方がとにかく誠実。記者達が足で稼いだ事実をあくまでも記者の視点だけ
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坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち(2024年製作の映画)

3.6

2001年の地雷ゼロプロジェクトから2023年の最晩年までの教授の社会的活動を追ったドキュメンタリー。

WAR&PEACE日本語化プロジェクトで日本全国から集まってきた投書に対して「そう言いたくなる
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.2

「白人が求めているものは真実ではなく免罪符だ」

このセリフに尽きる!ドラッグをやって汚い言葉を吐いて武装をして徒党を組んでラップをしてウサを晴らして最後は警官に撃ち殺される。そんなステレオタイプの黒
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関心領域(2023年製作の映画)

3.0

超先行上映にて鑑賞。

なんかいい意味でも悪い意味でもA24の悪趣味なエッセンスが凝縮されているような映画だった。地獄のアウシュビッツ収容所の隣で幸せそうに生活を営むドイツ人一家。その異常性を画面の外
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.4

本国のアカデミー賞授賞式の前日にようやく鑑賞。午前中に観たハリウッド大作の『DUNE PART TWO』のVFXチームのスタッフロールがいつまでも終わらない滝の様な膨大な人員数だったのに対して、ゴジラ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.1

待ちに待った続編を先行上映にて。

今作はアトレイデス家の生き残りのポールと砂漠の民フレーメンのチャニとの恋物語を主軸にポールが指導者として覚醒していくまでを描く。第一作ではジェイソン・モモアに子犬の
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.1

相変わらず表現スタイルの幅がエグいスパイダーバースシリーズ。レゴブロックから実写までなんでもございの縦横無尽のアニメーション。特にグウェンの世界線の水彩画のような流麗で繊細なタッチが主人公達の喜怒哀楽>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

雪に閉ざされた山荘で起きた男の転落死をめぐる裁判劇。夫婦間格差、国際結婚、セクシャルマイノリティー、メディアリテラシー、フィジカルハンディキャップ、などなど様々な問題を内包しつつ、我々人間の記憶がいか>>続きを読む

僕が愛したすべての君へ(2022年製作の映画)

2.7

『僕愛』から『君愛』へ。

あんまり映画の内容とは関係ないけどポスターは青春しまくってるくせに本編が始まると老夫婦の長々としたシーンを延々と見せられるのはなんか裏切られた気分(笑)

『僕愛』を見た後
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君を愛したひとりの僕へ(2022年製作の映画)

2.9

並行世界、いわゆるパラレルワールドを題材にした作品。主人公がとある選択を強いられ、一方の未来ともう一方の未来が同時進行で進み、その双方の並行世界を2つの作品に分けて描く試みはとっても魅力的だし画期的だ>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.5

待ちに待ったビクトル・エリセの31年ぶりの新作を公開初日に鑑賞。記憶と映画と想いを辿る物語。エリセだけに許された自身の映画へのオマージュ。31年間の空白期間とまるで戯れるかのようなストーリーテリング。>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.6

CMでさっしーが「全ての女性に見てほしい」って軽いノリで宣伝してたけど、こちとら映画オタクからしたら「は?ヨルゴス・ランティモスなめんなよ。そんな万人に刺さる生易しいもんなんか撮らねーんだよw」って思>>続きを読む

コミック雑誌なんかいらない!(1986年製作の映画)

3.5

内田裕也企画、主演。ロス疑惑や日航機墜落事故などを題材に虚構と現実を入り交えマスコミの凶気を描いた快作。今からふた昔前の綺羅びやかな芸能界。カメオ出演、友情出演をするスターもいちいち豪華!

芸能リ
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雪山の絆(2023年製作の映画)

3.0

アンデス山脈で実際に起きた飛行機墜落遭難事故を題材にした作品。フィジカル面でも物語の世界に浸りたくてあえて暖房は入れずに毛布にくるまってガタガタ身体を震わせながら見た(笑)

一面銀世界の雪山の美しさ
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.2

ウディ・アレン久々の新作!とは言っても実は4年前には海外では公開されていてこの度日本でもやっとこ日の目を見た形。

内容は監督の分身である小説家くずれの映画科の教師がスペインの映画祭へ参加してはいけ好
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.0

ケネス・ブラナーの名探偵ポアロシリーズの第3弾。原作はアガサ・クリスティの『ハロウィン・パーティー』。

冒頭で唐突にジュディ・ガーランド主演の『若草の頃』のナンバーの『Meet Me in St.
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

2.9

リメイク作のアンドリュー・ヘイの『異人たち』を観てオリジナルが気になり鑑賞。

浅草への郷愁と大林印のオカルト趣味が色濃く出ている作品。親父の鶴太郎さんと出会う浅草演芸ホールの場面がとっても魅力的。下
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一晩中(1982年製作の映画)

2.0

ブリュッセルの夜に繰り広げられるカップル達の群像劇というかエピソードの羅列。全編真っ暗で9割は登場人物の表情を読み取ることが出来ない。それくらい漆黒の闇で画面は潰されている。こんなのいいも悪いも判断出>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

3.3

70年代のニューヨークのスケッチと遠い故郷から届く母親からの煩わしい手紙のナレーション。このたったひとつだけのアイデアで90分見せれるアケルマンの才覚。

まだスマホはおろかウォークマンもなかった頃の
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ブルーを笑えるその日まで(2022年製作の映画)

4.2

教室でいつもひとりぼっちだった女の子がふたりぼっちになって煌めくような眩しい夏休みを経験する物語。年の瀬に入って荒んでしまった心を全て浄化してくれる様な真っ直ぐな作品に出逢えて感動😢

これが長編初監
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深夜カフェのピエール(1991年製作の映画)

2.6

初めてのアンドレ・テシネ監督作。1ミリも共感が出来ない不義理の限りを尽くす上京野郎の物語。あまつさえ都会で拾ってもらった恩人に対してわざわざ無礼に出向く奇人ぶり。可愛げも救いようもない人間性だから見て>>続きを読む

小早川家の秋(1961年製作の映画)

3.8

松竹の象徴であった小津がライバル会社の東宝で監督した唯一の作品。森繁久彌や小林桂樹、新珠三千代などのキャスト陣もそうだけど製作の藤本真澄、カメラの中井朝一というザ・東宝のスタッフ陣のクレジットが映画フ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

2.8

オッサンばかりが牛耳る世の中も嫌だけどこんなビビッドカラーに溢れた目がチカチカする映画ばかりの世の中も絶対嫌😂

この世界は矛盾ばかり。って、いかにも名言残しますよって感じでご高説をたれるオバサンがム
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.1

デビッド・フィンチャー監督の最新作。殺しのプロが犯したたったひとつのミス。それを冷徹非情に完璧に挽回していく物語なのかなと思いきや、それ以外でもちょこちょこやらかしてしまうのよねwだから「プロでもなん>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.4

お家騒動もあってアウトレイジ最終章から6年も経って公開された本作。それ故に監督のやりたかったことがあれやこれや入りすぎていて少々とっちらかっている印象(笑)

公開前から言われていた戦国版アウトレイジ
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.5

取材対象の匿名性を守るためのアニメーション。撮影許可が下りない国での場面を描くためのアニメーション。そして過酷すぎて鑑賞するには辛すぎる難民生活の実情を観客に届けるためのアニメーション。伝えようとする>>続きを読む

About Dry Grasses(英題)(2023年製作の映画)

4.1

『雪の轍』のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の最新作。芸術家への夢に破れトルコ東部の片田舎で燻ぶる中年教師の話。

つかないでいい嘘、語らないでいい真実、夢想家の左翼、達観主義の無党派、大地を覆い隠す雪原
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ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

1.8

ゴダールを拗らせた駆け出しの監督が溢れるリビドーを放出させたって感じが全編に渡って匂い立っていてヤバいwたぶん真面目に語ったら負け😂

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.9

原題『PETITE MAMA』。登場人物が10人にも満たない73分の小品。森のざわめきを捉えた繊細な音響効果が絶品。その空気感を崩さないように流れる挿入歌の導入法も細心の心遣いがされていて感心しきり。>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

3.2

飼い犬にはリールを着けて!
DQNが屯している酒場には行かないで!
隣人ガチャに外れたら潔く引っ越して!!

鑑賞中に何度こう願ったか!🤦笑

スペインの片田舎に引っ越して来た元教師のインテリフランス
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