ゴン吉

座頭市鉄火旅のゴン吉のレビュー・感想・評価

座頭市鉄火旅(1967年製作の映画)
4.0
盲目ながらも居合斬りの達人である渡世人の生き様を描いた「座頭市」シリーズの第15弾。
勝新太郎が主演、藤村志保がヒロインを演じ、青山良彦、藤田まこと、水前寺清子、春川ますみ、東野英治郎、遠藤辰雄、須賀不二男らが共演。

盲目の渡世人である座頭市(勝新太郎)は、街道で斬られて倒れていた足利の親分・庄太郎の死に際に出くわす。座頭市は足利に向うが、道中で旅芸人の一行(水前寺清子)と出会い、途中の下野富田まで同行する。そこでは前親分である庄太郎の亡きあと、縣(あがた)の岩五郎(遠藤辰雄)が元締めとなり、高額なみかじめ料を徴収していた。そんな折、座頭市は屋台のうどん屋で鍛冶屋の仙造(東野英治郎)と知り合う。元刀鍛冶だった仙造によると、座頭市の刀は自分の師匠が作った名刀であり、寿命が尽きようとしていて次に人を斬ったときに折れるという。座頭市は仙造から堅気になるように勧められ、足利の老舗旅篭の下野屋で按摩として働くことになる。そこで庄太郎の娘、お志津(藤村志保)と知り合う。しかし関八州見廻役(須賀不二男)が彼女に目をつけ、弱みに付け込んでくる.....

勝新太郎の代表作である盲目の渡世人・座頭市の活躍を描いた時代劇。
オープニングは「やなものを斬っちまったなあ」で始まる。
座頭市は作品冒頭のカラス斬りをはじめ蛇の目傘の等分斬り、四面畳斬りなど沢山の居合斬りを魅せてくれる。
盲目の坊主ならではユーモアも冴えわたる。
「馬鹿野郎 俺には回る目がねえんだ」 
「男は度胸 女は愛嬌 坊主はお経」 
本作では座頭市の仕込み刀の由来と寿命が描かれている。
鍛冶屋の老人の話では、その刀は五本の指に数えられた刀鍛冶の一人で老人の師匠でもある下野の国の名工が打った刀であるという。さらに老人からは衝撃の事実が。
「この刀には寿命が来てる もう一人ぐらいは斬れるだろう だがなあ 最期の一人を斬った途端に折れる」 
ヒロインは藤村志保が演じるお志津で、座頭市とは不思議な縁で関わってくる。 
一方、旅芸人の娘を演じる水前寺清子が初々しくし、若いながらも素晴らしい歌声を披露する。
「ぼろは着てても こころの錦 どんな花より きれいだぜ♪」
悪人は県の岩五郎親分(遠藤辰雄)と関八州見廻役(須賀不二男)。 
作品後半では堅気になろうとしていた座頭市の知り合いが次々と悪党に殺されイライラさせられる。
「俺は どうでもやるだけのことはやらなくちゃ気がおさまらねえ」
雪が降り始めた夜道で、蛇の目傘をさした座頭市が闇を斬る。
「とっつぁん 俺はやっぱり堅気にはなれん」 
最後は緊迫のユーモアで締めくくる。
「お!てめえ座頭市だってな 座頭市と聞いちゃ見逃せねえや 勝負だ!」
「五一(ぐいち)の丁」 
五一(価値のないことをする意味)のサイコロの目をあとに残して、西に傾いたお天道様に向ってどこともなく去っていく座頭市が哀愁を誘う。  

2024.4 BS12で鑑賞
2020.11 BSフジで鑑賞
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