世界三大映画祭のすべてで、最高賞を受賞した群像劇の名手ロバート・アルトマン監督が描く皮肉まみれのコメディ映画。
復活祭目前の週末。夫に先立たれ一人寂しく暮らす老女クッキーは、家族同様に長年一緒に過ごしたウィリスに最期の手紙を残し、お気に入りの宝石で身を飾って拳銃自殺を図る。横たわるクッキーを最初に発見したのは、彼女と反りが合わなかった姪のカミールだった。
第一発見者のカミールは、直ぐに警察に電話をかけると思いきや……。何と彼女はウィリス宛ての手紙を咄嗟に飲み込んで、クッキーが亡くなった寝室を殺人現場風に変えてしまう。親類から自殺者が出るのは恥ずべきことだと思ったからだ。
〝これは強盗殺人よ!〟と周囲に嘘の証言をし、程なくして同じ敷地に住む黒人の男ウィリスが逮捕される。だが、町の誰もが彼を犯人だと思わない。
この映画は冤罪事件のサスペンスでも法廷ドラマでも犯人探しのミステリーでもない。しかもかなりの有名俳優が出ているのに、映画には明確な主役がいない。
あえて主役というならば、それは舞台となっている南部の町そのものだろう。その土地がどんな土地かと聞かれれば、彼が犯人ではないと証言する、この町の老保安官の台詞を聞けばわかるだろう。
なぜかと聞かれた老保安官は、淀み無くこう答えるのだ〝なぜって、奴は釣り仲間だからさ〟。
北部、東部、西海岸、南部。アメリカ映画を見る時は、どの土地の話かを注意しなければならないと再認識させる映画でもあった🤭
〈余談ですが〉
20年ほど前にTUTAYAのワゴンでVHSビデオを大量に買い漁った中の1本を処分前に最後の視聴。
お世話になったそのTUTAYAも今はもう無い😢