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砂漠の鬼将軍のtackyのレビュー・感想・評価

砂漠の鬼将軍(1951年製作の映画)
3.5
ジェシカ・ダンディ繋がりでもう一本。

映画としての出来はそれなりなのだが、戦後6年しか経ってない時代に、ナチの将軍を英雄視した映画が、米国で制作された事自体に驚かされる。
それほどロンメル将軍は、ヒトラーとの対比とその最期によって、欧米から英雄視されていた。そのロンメルの生き様を観るだけでも、満足できる作品である。

作品自体、ロンメルの全盛期を描いていないので、戦争英雄作品では無いのに、まず驚かされる。
北アフリカ撤退を余儀なくされるところから、ヒトラー暗殺計画に加担して、服毒自殺を強要されるまでを描いている。

捕虜になった、ヤング准将の手記が原作なので、捕虜に対する扱いが紳士的であったり、一兵士にまで気遣いできるところなど、多分に針小棒大な描き方をしているが、実際に旧態然とした古い騎士道精神に溢れた人物であったらしい。

元々、第一次大戦から従軍していて、ナチ党に入らず、ナチに忠誠を尽くすより国家の為に動いたところも、好感を持たれたのかもしれない。
息子がアーリア人の優位性を語ったら激怒したとか、親衛隊に志願しようとしたのを止めたりとか、逸話が沢山ある。

この度のジェシカ・ダンディは夫人の役で、あまり活躍しなかったが、とても美しく控えめな夫人を好演している。
最前線でも、夫人への手紙をかかさなかったところなど、悲運の首相、広田弘毅を思い出した。
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