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祇園の姉妹のtackyのレビュー・感想・評価

祇園の姉妹(1936年製作の映画)
3.8
男を手玉に取って生きようとする妹と、男に縋って生きる姉の姉妹の生き方の対比を、京都の祇園の乙部を舞台に描いた(甲部で無い所がミソである)戦前の溝口の傑作。

どちらも、結局男に裏切られ、悲惨な結末を迎える。どうあがいても男に振り回されるのだという物語。

いつもの溝口の作品とおり、ロクでも無い男ばかり出てくるし、暴力を振るう輩も出てくるし、結末も悲惨で、毎回後味の悪さで嫌になる。
ロングワンショットの多様や、人の欲望を的確に抉り出す脚本など、素晴らしいのだが、この悲惨な物語には「恨み」はあるが、「希望」は無いので、苦手な作品である。

人の良すぎる姉の生き方を否定する妹役の山田五十鈴が、成瀬の「流れる」で人の良い騙される女将を演じるとは、皮肉な事である。
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