悪魔の毒々クチビル

ダーククリスタルの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ダーククリスタル(1982年製作の映画)
4.1
「元気ハツラツだ!」

世界を司るクリスタルを巡って対立する異世界の種族達のお話。


1982年製作のファンタジー映画です。
今作に出てくるキャラは全てパペットとなり、言うなれば超壮大な人形劇。
監督はこれまた有名パペット番組「セサミストリート」の生みの親であるジム・ヘンソンと、同作品や「スター・ウォーズ」にてヨーダの声を演じていたフランク・オズという、パペット業界の重鎮による作品となっております。
そもそもヨーダの存在の実現自体、この二人の貢献があったからって事なんですってね。

かつてクリスタルが欠けた時に善悪にわかれた二種類の種族が生まれた。
3つの太陽が重なるまでにクリスタルの欠片を本体に戻さないと、悪のスケクシス族が世界を支配してしまう。
善のミスティック族の長老はかつてスケクシスによって滅ぼされたゲルフリン族の生き残りの少年ジェンに、クリスタルの欠片を探しスケクシス族の支配を終わらせる為に旅立たせる。

とまぁ、実際観てみないと何のこっちゃよく分からない設定ですが、今作の造り込まれた世界観は大変見応えのあるものになっています。
序盤はキャラの所作が人形故のぎこちなさも少し見受けられますが、すぐにそこも気にならなくなりました。
特にスケクシス族の禿鷲が無駄にでかい服着ているみたいな見た目はインパクト大で、彼らの野蛮な食事会も生々しく描写されていて凄い。
クリスタルの欠片の所有者であるオーグラもこれまた個性的。
片目の老婆で何故か目を取り外して遠隔監視も出来るのですが、正直その距離なら外さなくても見えんじゃね?って位置でしか取り出していないのちょっと笑えた。
あと地味にお喋りで声もでかいんだけど、何か嫌いになれないお婆ちゃんでした。

ジェンや道中出会ったゲルフリン族のもう一人の生き残りの少女キーラなんかは、哺乳類的な見た目でキャッチーな存在感で上手い作り分けだなと。
キーラに懐いている謎の毛玉動物フィズギグも印象的。大口開けた姿が絶妙に可愛くないです。
あとは周りの木々や景色、その地に生息する動物と言った細かい要素の造り込みにも凄く拘りを感じてふと描写される食物連鎖なんか人形劇で出来るレベルを超えているんじゃないかと思いました。
湿地帯のヌメヌメな質感とかもよく再現出来たなぁ。

世界観の凄さに圧倒される一方で、主人公のジェンが若干影が薄いというか成長した感じが控えめだったりと、ストーリーには満点は付けられませんが全編通して素晴らしい職人技が見受けられる良い作品でした。
どうやら数年前ネトフリで今作の前日譚となるドラマシリーズが製作され評価も良かったみたいですが、予算の関係かシーズン1で打ち切りになったようです。