悪魔の毒々クチビル

AVP2 エイリアンズVS. プレデターの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

3.5
「俺はクソはごめんだ」

コロラドの田舎を舞台にエイリアンとプレデターが勝手に戦い出すお話。


今更ながら今作の感想を。
そう言えば初めて一人で劇場まで観に行った作品、のはず。
監督は1作目の「スカイライン」を手掛けたコリン&グレッグ・ストラウス兄弟。

まぁこの作品についてはね、観た人の殆どが言うように画面の暗さが致命的で(それだけじゃないけど)、そこは確かにフォローのしようが無いです。
ただ一方で割と好きな要素も多いっちゃ多いんですよね。

まずオープニングクレジットですが、前作は「エイリアン」オマージュだったのに対し今作は「プレデター」オマージュとなっており、初見の時はニヤリとしましたね。
開始早々エイリアンとプレデターのハイブリット、プレデリアンに惨殺されるプレデター3体(多分)ですが流石DNAと言う事なのか実はこの殺られたプレデターは、プレデリアンに皮を剥がれて逆さ吊りにさせられていた事がノベライズ版で明らかになります。
今作のノベライズ版は前作と違い、映画本編の出来事や設定を深掘りしていた良ノベライズだと思います。とっくの昔に失くしたけど。
あ、皮を剥がれたプレデターの死体も実際に造られていたのですが、結局本編では使われなかったようで。かなりレアだし出てきて欲しかった。

今作のプレデターはこう言った不測の自体でエイリアンやフェイスハガーが逃亡してしまった際に派遣される、対エイリアンのスペシャリストでもあるザ・クリーナー。またの名をウルフ。
このシンプルなハンターとは違う役割のプレデターの登場ってだけで当時は非常にワクワクしておりました。
因みに序盤で殺られた一体は、面識こそ無いけれどウルフと血縁関係にある個体だそうです。
この個体が墜落した時にガントレットで救難信号を送ってウルフが事態を知る、と言う流れですが最初は普通に自爆しようとしたのかと思いました。

こうした設定により新たな装備が複数個追加されたのも嬉しいところでして。
レーザー付きの地雷、プラズマキャノンをハンドガン型にする用のグリップ、エイリアンの尻尾で造ったスラッシャーウィップ等々。
個人的に一番好きなのが、ガントレット操作によって展開する腕から拳までを覆うアーマーみたいなやつ。あれでコンクリ突き破って地下から出てくるシーン、格好良いよね!
あとシリーズ初の両肩プラズマキャノンも最高だよね!
前作でケルティックプレデターのリストブレイドがエイリアンの酸性血液に溶かされる描写がありましたが、ウルフは当然そこの対策もしておりブレイドは耐酸仕様となっております。
また、武器ではありませんが証拠を全て抹消する用に謎の液体も持ち歩いており、掛かったものはエイリアンの身体ですら跡形もなく消え去ります。逆にそんな液体が入る容器の物質が気になる。

そんな感じで最初の下水道での戦いは、トラップを駆使した戦闘がスマートだしエイリアン2体を両手で抑える屈強さも良かったんだけど、プレデリアンに悉く邪魔されてイマイチ強者の風格に欠けていたのは残念でした。
発電所ではエイリアンの不意打ち喰らって負傷するし。
と言うかほぼ毎回不意打ち喰らっていたよね。
一応ですね、ウルフは墜落した小型船でフェイスハガーが保管されていた培養液のサンプルを採っていて、それのお陰でフェイスハガーやそこから成体になったエイリアンの痕跡を追えるようになったのでサンプルの無いプレデリアンの存在には確かに気が付き難いとは思います。
まぁ、救難信号を送信したプレデターのヘルメット映像のログでエイリアンでもクイーンでもない何かが居るっていうのは分かっていた筈なんだけど。

そう言う訳で、後半のガンショップでまたもエイリアンに不意打ちされてプラズマキャノンを一つ失うウルフですが、ここは実際はサンプル採取した個体は全て抹殺して油断していた中でプレデリアンが新たに産み付けた新個体が大量にやって来て「話がちげぇじゃねぇか!!」とぶちギレている場面だったりします。

因みに登場するエイリアンは2のウォリアータイプで、鳴き声も2のものを使用しています。
また、保安官の死体を発見したと語る場面で"He was skinned alive."と言っていたのは1作目の「プレデター」オマージュってことで良いのかな?


ある日何の変哲もない田舎町が突如2大異星人のせいで地獄に変貌していくって展開は面白いし、学校のプールとか下水道にエイリアンが出てくるとか今でも中々新鮮だとは思うんだけど如何せんキャラが全員薄い。
前作もそうだったけど、あちらにはランス・ヘンリクセンが居たので。
ただメインは人間じゃないので、案外あのくらいの塩梅でも良かったんじゃないかなと。
今回は人間がプレデターと共闘する訳でもないですし。
ゴアシーンも大幅に追加されて嬉しい所ではありましたが、安定の暗さが邪魔でしたし病院でエイリアンに襲われるシーンはカット割りも細かすぎてマジで何やってるか分からなかったです。

終盤のウルフvsプレデリアンではガントレットを破壊され本来の目的達成どころか自爆も出来ず、やけになったウルフの捨て身の戦いが見所…なのにあの決着の付け方はクソ過ぎたなとは思いました。
プレデリアンのインナーマウスを素手で引き千切る所とか、あとガントレット破壊されてヘルメット映像がバグる演出とかこれまでに無いプレデターの描写が観られたのは良かったですが。

そんな訳で残念な部分が多々あれど、プレデター好きとしてはちょいちょい良いなと思える箇所がありどうにも嫌いになれない作品でした。


余談ですが序盤でフェイスハガーに襲われ、恐らく子どもからチェストバスターが飛び出る初の役柄を演じたのはリアム・ジェームズ。
俺が唯一ベストムービー設定している「プールサイド・デイズ」の主人公ダンカンを演じた彼です。初めて知った時はめっちゃ衝撃でした。