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『アウシュビッツ行 最終列車 ヒトラー第三帝国ホロコースト』に投稿された感想・評価

Mayuzumi

Mayuzumiの感想・評価

4.6
 ベルリンからアウシュビッツ=ビルケナウへ向かうまでの列車内を舞台にした、ドイツ産ホロコースト映画の隠れた名作である。
 列車といってもこれは普通の列車ではない、家畜運搬車である。(この移送列車をはじめ、囚人番号の刺青や、収容所の外観、囚人の扱い方、消毒、チクロン B 等による毒ガスを使った有機体処理の方法まで、これらの悪意ある手口はすべて、ユダヤ人を家畜として扱う認識の上で徹底されている。チクロン B は当時家畜処理に用いられたガスなのである)。
 中は木の板を打ち付けたような塩梅で、格子付きの覗き窓が二つと干し草がまばらに散らばってあり、その収容者数三十人がとこへ無理矢理五十人以上が詰め込まれた。(彼らの数字に関する、こういったコンプレックスまがいの手口の事例はいくらでもある。例えばベルゼンの収容所では、百人しか入れないバラックに、千人以上詰め込んでいた)。
 そのとき彼らは気付いたのである、アウシュビッツは、ポーランドの片田舎に立つ、あの不吉な、忌まわしい建物の中にだけあるのではなかったのだ、この列車の汽笛や車輪の軋り、蒸気の白い煙とともに、ユダヤ人の犇めく停車場にまでやって来たのである、御丁寧に SS や監視兵を大勢引連れて。……水と食料を配布します、水と食料を配布します、というドイツ兵のアナウンスが停車場に響いている。
 映画は、とある車両に入れられた、複数のユダヤ人の家族を群像劇風に、一人一人の回想を交えながら映していく。列車が進むにしたがって糞便に塗れ、皮膚が骨張り、骸のように目を向いて、最終的にほとんど肌着一枚になる様子と、それぞれのうつくしい回想シーンが無残な対比をみせる。芸術家の婦人が子供たちを集めて、汚い身なりへと貶められたなかに、ただそこにだけ人間の詩の輝きがあるような、指につまんだ香水瓶を、みなに嗅がせるシーンからの回想は特にかなしいうつくしさがあった。
 
 
 当然、食料は配られない。水がバケツ一杯ばかりである。馬鹿にしたように用を足すバケツがもう一つ。
 ベルリンから、ポーランドのアウシュビッツ(ポーランド語でオシフィエンチウム)までは、そう遠くはない。半日もあれば行ける距離だが、当時の鉄道事情で、(ユダヤ人の輸送を最優先させていたにも拘らず)前線への兵士や軍事物資を送る移送列車の通過を優先させていたため、至る所で立ち往生を食った。そのため、移送にはほとんど一週間ほどもかかったということである。映画では移送二日目か三日目に、ようやくもう一杯の水が配られたきりであったが、この水をめぐって、車内が狂乱に陥る様子をカメラは淡々と捉える。車内に対立する家族と家族の利権に人間の欲望が乱れ飛ぶ。バケツをこぼした少年へ向けられる暴力的な絶望、駅を歩く人に格子を叩き打ち鳴らして水を求める声の暗いかなしみ 、貴金属を駅員にばらまきホースの水を得た人々の凄惨な有様、舌と唇が切れて血が出るまで床にしたたる水を舐める妻の変わり果てた無惨な姿、そして、赤子の母乳を一滴でもしぼり出すために、水分を求めて母親が口に含むバケツの糞便。そこへ無差別に銃弾を浴びせる親衛隊員。停車場に駐屯しているウクライナ兵は夜になると戯れに車両を銃撃して回る。夜の闇に悲鳴がきこえる。(やさしいドイツ兵の駐屯する駅もあった。又、恋人のユダヤ人を収容所で殺されたため、彼らに同情しているドイツ人の車掌を配置するなど、善悪のバランスは非常に計算されている)。
 中盤からはどうにか列車から逃げ出そうという動きが出てくるのだが、車両には断絶がある。それは単純に人数が多すぎて、座るはおろか移動すら困難な状況であるから、(恐らく人口密度は満員電車よりも高い)、自然と車両が二つのサイドに別れ、なかには無関心な者もいるなかで、革命側と保守側、即ち脱出と現状維持とが対立し始める。しかしここも単純な対立には終わらせず、少年が親の反対を無視して革命側へ協力し、格子を抜けて、列車の疾走するなか、外壁をつたって扉の閂を開けに行くというスリリングな展開も用意されている。終局に向かうにつれて絶望と希望が交錯するのである。
 この有り難い寝台車によって、ドイツ国内のユダヤ人は一掃された。最終列車というのは、そういう意味なのである。
 
 
(参考)
 監督の一人のヨゼフ・フィルスマイアーは、ドイツ戦争映画の名作『スターリングラード』( 1993 )を撮ったことで知られている。共同監督のダーナ・ヴァヴロヴァは、同作で、主人公に協力するソ連の女兵士として出演している。
 
 プリモ・レーヴィ、『アウシュビッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』、朝日新聞出版
 V.E. フランクル、『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録』、みすず書房
連名監督の一人は「スターリングラード」のヨゼフ・フィルスマイアー監督。
長い邦題にあるように、アウシュビッツへユダヤ人を搬送する列車の様子を描いた映画です。
劇中のゲシュタポによると、この最終列車でベルリンのユダヤ人はいなくなるという設定のようです。
最後までベルリンに残ることができた、資産家のユダヤ人達が連行、搬送されていきます。
ウクライナ人のSSという珍しい義勇兵も登場します。
主要登場人物達の回想シーンが多いので、冗長に感じる人もいるかもしれません。
映像的にはかなり素晴らしく、力作という印象を受けました。
たてぃ

たてぃの感想・評価

4.3
ホロコースト作品はアウシュビッツでの出来事を描いた作品が多いですが、この作品はベルリンからアウシュビッツへ到着するまでの「列車の中での出来事」がメインという異色の作品でした。

最後までホロコーストを逃れていたブルジョア層のユダヤ人がゲシュタポによって捕まり(このシーンもかなり極悪…)、アウシュビッツ行きの貨物列車にすし詰め状態で乗せられる…しかも各車両には‘たった1杯分のバケツの水'しか与えられない(食料はない)…トイレなんかもちろんなくて空のバケツ1杯が置いてあるだけ…こんな過酷な状況の中での人間の心理状態が変わっていく姿も描かれてます。

車内だけでなく、途中で停車する駅での出来事も描かれており…

・ウクライナSSの蛮行っぷりが本当に酷かったし怖かった…車両にいたユダヤ人を無作為に選び彼らを紋首台に運び殺したり、酒に酔ってマシンガンを車両にぶっ放つわ、まさにやりたい放題…
・ドイツ国防軍の兵士達が水や食料を車内にいるユダヤ人に与えたシーン(ドイツ軍と言っても全員悪ではない)。ユダヤ人を運ぶ列車には親衛隊SSがいるんですが、国防軍の兵士が彼に向かって「戦争終わったらおまえらは終わりだぞ」と叫んだシーンは胸が熱くなりました…(SSの隊員は「何言ってんだこいつ?」みたいな顔してましたが)


別の作品でSSの大尉が「アウシュビッツに運ぶ間に列車内にいるユダヤ人の4~5%は死ぬ」のセリフを思い出しましたが、ホロコーストはアウシュビッツに到着する前から始まってると知らしめる作品でした。

『アウシュビッツ行 最終列車 ヒトラー第三帝国ホロコースト』に似ている作品

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上映日:

2018年09月08日

製作国:

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