櫻イミト

探偵スルースの櫻イミトのレビュー・感想・評価

探偵スルース(1972年製作の映画)
3.5
マンキウィッツ監督の最後の作品。登場人物二人だけの同名ミステリー舞台劇の映画化。原作&脚本は「フレンジー」(1972)、「ウイッカーマン」(1973)のアンソニー・シェーファー。「スルース(Sleuth)」は「探偵」の意味。

【あらすじ】
著名なミステリー作家のワイク(ローレンス・オリヴィエ)は、妻の不倫相手で美容師のティンドル(マイケル・ケイン)を自宅に呼びつけた。ワイクは、浪費家の妻を譲るから自宅の金庫に保管している宝石を泥棒に扮して盗めと言い出す。宝石には盗難保険がかかっているので双方に利益があり、妻がいなくなれば自分は若い愛人と新生活をするというのだ。金のないティンドルはワイクの目の前で指示どおりに強盗の痕跡を残し宝石を手にするのだが。。。

前後編の二幕構成。開始から30分はセリフの多さと芝居じみた流れに挫けそうになったが、その後、双方が本音をさらし始めると俄然面白くなり引き込まれた。終盤に進むほど心理戦と逆転劇がシャレにならない状態に陥り面白くなっていく。作家ワイクがコレクションしているカラクリ機械人形たちも好みのルックスで楽しめた。

一つの屋敷を舞台に二人の登場人物で作り上げたのには感心するし良作だとは思うが、映画的ダイナミズムに欠ける長尺は微妙とも思う。導入部を20分ほどに圧縮し簡潔にしたらもっと見やすかったと思う。

本作は著作権を持つ会社が倒産し著作権の宙ぶらりん状態が続いているとのこと。日本語版はVHSのみだが、ワイドサイズの両端を切ってあるので要注意。

※MEMO
映画秘宝EX
「100人の映画ジャンキーが選ぶ最強ミステリー映画決定戦」(2016)
第1位「サスペリアPART2」
第2位「悪魔の手毬唄」
第3位「探偵〈スルース〉」
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