みきぴん

1978年、冬。のみきぴんのレビュー・感想・評価

1978年、冬。(2007年製作の映画)
3.8
10年間続いた文化大革命が終結し
急速な経済成長と自由に向かって
時代が大きく変わろうとしていた
中国

閉鎖的な
中国北部の田舎町「西幹道」で
両親と18歳の兄スーピンと
共に暮らしている
11歳の少年ファントウ
二人の前に都会(北京)から
この町の親戚の家に
美しい少女 シュエン が
一人で身を寄せて来る

時代の変化は
まだ田舎町には届かず
閉塞感の漂う荒涼とした日常から
抜け出したい兄と
無口で友達も居ない弟は
少女のまとう煌めきに憧れる

セリフでの説明はほぼ無くて
映像で物語る
カラー作品なのに
モノクロかと見紛うほどの
冬の灰色の田舎の風景が
寂しく冷たく そして美しい

18歳の兄と少女
そして幼い弟
広大な雪野原や 長く続く線路を
前になり後ろになり
歩く3人
1978年の一度きりの冬
忘れられない冬

そして人生は続いていく

物語は全然違うけれど
アッバス・キアロスタミ監督の
ジグザグ道三部作を
ふと思い出した

静かな美しい作品だった
みきぴん

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