りょう

メランコリアのりょうのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
2.8
 久しぶりに観ましたが、やっぱりラース・フォン・トリアー監督からのメッセージを理解できませんでした。彼が鬱病を発症した経験が反映されているようですが、当事者たちにしか理解できないように仕組まれた演出だったのでしょうか。
 第1部のジャスティンの結婚式のシーンは、偏屈な母親と奇行ばかりの娘が自分の結婚式をぶち壊す一部始終が描かれます。とりわけジャスティンの身勝手な言動が不快で、ここまで社会に適応できない女性が広告業界で仕事に就き、結婚までできるはずもありません。そもそも新郎のマイケルは、彼女の特性を理解していなかったのでしょうか。結婚式の最中に離婚してしまうなんて、あまりに浅はかすぎます。ここまで登場人物の言動が支離滅裂だと、脚本そのものが破綻しますが、ラース・フォン・トリアー監督の作品はそのレベルを超越しているのかもしれません。
 第2部の惑星の衝突のパートは、自殺願望のあるジャスティンが地球の70億人を道連れに壮大な自死を遂げるという展開です。世界中の人々がパニックになっているはずなのに、そんなことはまったく表現せず、ジャスティンとクレアのパーソナルな物語に徹しています。冒頭の映像とも相まって、なぜか神秘的な終末です。
 こういう映像と世界観にハマるファンもいると思いますが、個人的には残念な作品でした。
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