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アルカトラズからの脱出のYOKのレビュー・感想・評価

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)
3.6
名作のイメージだし主演がみんな大好きなレジェンド、クリント・イーストウッド。
私の中のクリント・イーストウッドは午後ローor西部劇or史実をテーマに映画を撮りまくる監督、ってイメージ。

今作のクリント・イーストウッドは犯罪者なのか、それとも看守なのかワクワクしてたんただけど、始まって直ぐに前者って分かった。全くセリフがない中で護送されていくイーストウッド、とても悪いことする人には見えぬ。わけぇ。

しかしまぁ、看守って怖い仕事よね。捕まってるとはいえ冤罪の人を除いた全員が何かしらの犯罪行為を犯してる人を監視しなきゃいけないんだもの。命の危険すらある職業の人が「月収100万しか貰ってない」って言うのなら、私は理解を示せるかもしれん。(時事ネタ)

あとこういう刑務所をテーマにした映画って必ず囚人側にペット(だいたいネズミ)飼ってる人いるよな。今作もおって安心した。一緒にシャワーまで浴びるの溺愛しすぎてて草。

アルカトラズはもはや有名すぎて説明するのも憚られるけど、島なのよね。アルカトラズ島。かつては灯台、軍事要塞、軍事監獄、そして1963年まで連邦刑務所として使用され、ザ・ロック、囚人島、監獄島とも呼ばれてたんだってさ。

本来、犯罪を犯した人が刑務所に入っているわけだからそういった人達に同情することって少ないと思うんだけど、囚人がメインの作品だと刑務官が悪になるので同情心芽生えまくる。絵だけが生き甲斐だったドクが絵を奪われてしまって蛮行に出るの、シュンとした。

もっとパピヨン見たいに「俺はぜってぇにここから脱獄してやるぜ!」みたいな映画かと思っていたら全然違って静かな映画だった。なかなか脱獄の準備しないし、脱獄に前向きでノリノリで木製の鍵作ったりもしない。(主演ダニエル・ラドクリフ:「プリズン・エスケープ」)

一応主人公のフランクは何度も脱獄を成功した経験を持つ、ゴールデンカムイの脱獄王白石のような男。かと言って白石みたいに関節ぐにゃぐにゃにして脱獄するわけがなく、映画が半分すぎたあたりで「脱獄の方法思いついたわ」と至極冷静に数人の仲間に作戦を告げる。

正直そこに至るまでの序盤~中盤は、本当に脱獄するんか?ってくらい静か。ただドクのことがあってからフランクの本領が徐々に発揮されるようになり、こりゃあ脱獄するつもりだって生唾飲める展開へとなっていく。しかもこの頃には観ているこちら側も署長のクズさに苛立っているので、やったれやったれ!って気持ちになってる。上手い展開だよな。

この映画で個人的に推していたのがドクとリトマスなんだけど、「私が推すと推しが死ぬ」という悲しい運命のままに2人とも不幸になってしまって大変に悲しかった。なんで私の推しはこうも作品から退場したがるのか…辛い…。

史実を元に作られている作品なので現実では何があったかなどを知らずに見たのだけど、作戦が結構大胆。ってか、良くもまぁバレることなく長期間にわたって準備できたものだわ。やっぱり1人でなく囚人の中に協力してくれる仲間を作るのって大切なんだろな。

ラストは事実に基づきまくり文。そっかー、現実もそんな終わり方だったのか〜。結局どうなったんだ?ってモヤモヤは残るものの、これは史実なので致し方なしってやつだわ。

もっとゴリゴリの脱走劇を繰り広げる映画かと思っていたので違ってうーんとはなったものの、ヒューマンドラマすら感じさせる静けさとクールさは決して悪いものではなかったかな。

リトマスとネズミちゃんコンビが可愛かった。
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