ヴレア

木を植えた男のヴレアのレビュー・感想・評価

木を植えた男(1987年製作の映画)
4.0
子供の頃、地元の映画サークルが夜の公園で上映会を開き、その時上映されたのがこの作品だった。鑑賞は無料で、翌日行われる映画上映会の前夜祭的な催しだった。
夜の公園に皆ワクワクしながら集まって、映し出されるこの作品を観たときの感動は忘れられないものだった。

(以外、Wikipediaで得た情報を元に書いています)

フレデリック・バックは4年半をかけ2万枚のスケッチにも及ぶこの作品を完成させた。しかも、途中で定着液を右目に入れてしまった事で失明し、左目だけで書き上げたという。
しかし、この作品を実在の人物によるノンフィクションだと思って制作を始めたが、この物語がフィクションである事を知りブフィエが存在しない事を知り衝撃を受け一時は落胆してしまったのだとか。確かに、それだけ大変な思いをして作ったのに途中で作り話と分かるなんてそれはびっくりだろうなと思う。

しかし、実話であろうと無かろうと、この作品の評価に変わりはないのだ。手描きの鉛筆で描かれたこのアニメーションには確かに一人の男の生涯をかけた神にも等しい偉業が生き生きと描かれている。その無私無欲の行いを目にした時、人間の無限の可能性を知ることとなる。自然に対する畏敬の念を抱かせる素晴らしい作品だった。

カナダではこの作品が上映された後、大きな植樹運動が起こり、それまで年間3000万本程度だった植樹がその年には2億5000万本に達したのだそうだ。
そういう意味ではフレデリック・バックによって作られたこの作品が人々に与えた影響は計り知れないし、もはやフィクションだからとかは関係ないのだなと思い知らされるのだ。
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