りょう

スピードのりょうのレビュー・感想・評価

スピード(1994年製作の映画)
3.8
 もう30年前の作品ですが、久しぶりに観ても新鮮で面白かったです。当時は日本でも大ヒットして、キアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロックの出世作になりました。いい意味でアクション以外には何もない作品です。
 オープニングタイトルの映像は、あまりにつまらなくて不安になります。序盤のエレベーターを舞台としたシーンは、主人公と犯人の確執のきっかけになるエピソードですが、演出にキレがなく、あまり面白いとは言えません。終盤の地下鉄のシーンは、中盤のバスのエピソードのように周囲の風景や障害物がなく、スピード感も“次になにがあるのか?”というヒヤヒヤもないため、クライマックスとしては物足りないです。
 ただ、物語の中核になるバスの暴走の一部始終は、銃撃も格闘もないのに、アクションシーンとしての緊張感がハンパないです。複雑なプロットもなく、純粋に減速できないバスをどうやって走行させつづけるのかというわかりやすい展開もいいです。一連のシークエンスを構築した脚本も秀逸です。空港の旅客機が大爆発するシーンは、“これが撮りたかった”感がいっぱいですが、羽田空港の衝突事故の直後なので、笑って観ることができませんでした。
 よくも悪くもキアヌ・リーヴスの存在なしには成立しない秀作でした。この時代に有名になったスター俳優はたくさんいますが、そのポジションを安定的にキープしているのは、マイペースで無欲な彼だけのような印象です。
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