けーはち

あなたと私の合言葉 さようなら、今日はのけーはちのレビュー・感想・評価

3.7
市川崑監督による小津安二郎オマージュの父娘人情劇&娘への求婚者らを巡るロマンティック・コメディ。軽快な会話劇は何かトボけた調子で登場人物全員に可愛げを生む。

1959年にこれをカラーで撮ってくれてありがたや~🥰なダットサンをデザインする太縁メガネのダサ美しい主人公・若尾文子がでっけ〜製図用紙で車の設計図を描くのは本作だけ!(多分ね)

彼女はバリバリの仕事人かつ男やもめの父親・佐分利信への情を重んじるあまりモテるのに結局恋愛劇では蚊帳の外。代わって共演者の京マチ子や野添ひとみが関係を牽引する。積極的な女に外堀を埋められた男側が結婚に対してみせる消極的な“年貢の納めどき”とでも言うべき態度や、娘が自分の人生を生きるため「お互いを捨て合う」とまで言い放つ父娘間の関係も愛惜と諦念が混合しつつウェット過ぎない、盛り上がらなさ、素っ気なさがむしろシニカルで面白い。