しろくま

ハナミズキのしろくまのレビュー・感想・評価

ハナミズキ(2010年製作の映画)
3.4
《灯台で撮った写真を見せながら》
〝これがお母さんで、これが私〟〝ここどこ?〟〝カナダ。私、この街で生まれたんだ。でもこの街のこと何も覚えていないの〟〝いつか見てみたいな。紗枝の生まれた所〟〝私も〟

かつて〝いつでも夢を〟や〝銀座の恋の物語〟など歌謡曲をモチーフにした〝歌謡映画〟が数多くつくられた時期があったけど、近年はめっきり少なくなって…。最近では、中島みゆきさんの名曲を菅田将暉さんと小松菜奈さんW主演で映画化した〝糸〟ぐらいかな。そして、主演の二人にとっては運命の糸となったハッピーな話題作だったけれど…。

本作もバリバリ〝歌謡映画〟で、一青窈さんの名曲〝ハナミズキ〟をモチーフにしているけど、耳馴染みのいい曲の割に、歌われている歌詞はかなり意味深。〝果てない夢がちゃんと終わりますように 君と好きな人が百年続きますように〟とか〝僕から気持ちは重すぎて一緒に渡るにはきっと船が沈んじゃう。どうぞゆきなさい、お先にゆきなさい〟ってどういうこと、失恋ソング?鎮魂歌?〝僕の我慢がいつか実を結び、果てない波がちゃんと止まりますように〟とかは、めちゃめちゃ自己犠牲で、この歌詞の意味をどう映画で紐解いていくのかが楽しみあったけど…。

9.11の悲劇や大事な人の死、大好きな人の結婚話とか歌詞と関連するエピソードが描かれてはいるが、父親と一緒に植えたハナミズキの種の話が一番分かりやすい。〝花が咲くのはいつ頃だろうな。その時紗枝はいくつになっているんだろうな。もしお父さんが遠くに行ったとしてもお父さんは紗枝のことをずっと見守っているかならな〟ってことは、〝ハナミズキ〟はパパで、〝君と好きな人〟は娘と彼氏。父親から娘に贈るハッピーソングってことね。

北海道、東京、ニューヨーク、カナダを舞台に互いに思い合いながらもすれ違う紗枝(新垣結衣)と康平(生田斗真)。冒頭の何気ない会話が伏線になって、10年間に渡るすれ違い愛に奇跡が生まれる壮大なラブストーリー。身近な人に心変わりしたり、あっちがダメになったからこっちに乗り換えたりしてツッコミどころ満載だけど、初々しい新垣結衣さんに癒される2時間は至福。

視聴メモ:2023.07.02/101/図書館DVD
しろくま

しろくま