ダイゴロウ

男はつらいよ 寅次郎夢枕のダイゴロウのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972年製作の映画)
4.0
シリーズ第10作目。
ヒロインの千代さんがなんとも感じの良い傑作回。
離婚し、近所で美容院をはじめるために戻ってきた幼馴染みの千代との再会にたよりご機嫌な寅さん。
とらやの一室を間借しているインテリ助教授の岡倉が千代に好意を抱いていることに気付き、からかいつつもなんだかんだで岡倉の頼みを聞いて代理告白をすることに…。

今回はヒロインから好意を持たれたうえで、自ら身を引いてしまう寅さん。
身を引いた理由としては、①自分の幸せに対して臆病な寅さんの性分②自分では幸せにできないとの判断③岡倉に対する義理などが考えられますが、個人的には④寅さんが千代を恋愛対象とまでは意識していなかった点もあったように思いました。
岡倉へのからかい方や千代との接し方をみても、兄貴分としての余裕のようなものが感じられて、ヒロイン以外のことが手付かずになる、いつもの恋煩い状態までには至っていなかったように思われました。
「幼馴染み」は恋の相手としては意識しがたい、それ故に虚をつかれてしまった部分もあったのではないかと…。

想いが届かなかったことを理解したときの千代の表情がなんとも切ない回でした…。