似太郎

炎のごとくの似太郎のネタバレレビュー・内容・結末

炎のごとく(1981年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

最後の主人公の台詞「おりん、また、わいは賭けるで!」には只々ポカーン…。(´⊙ω⊙`)

公開時、批評的にも興行的にもスカタンに終わった加藤泰の最後の劇映画。(実質的な遺作は『ざ・鬼太鼓座』だが)。主人公の小鉄を演じる菅原文太が最後までギャーギャー泣き喚いてばかりで鬱陶しい。

ここまで暑っ苦しい演出はもはや私のような加藤信者しか楽しめないだろうし、ベタベタなストーリー、安っぽい劇伴、大仰で力み過ぎた演出など色んな意味で【加藤節】が噴出した血と恋染めと情念の世界である。

この監督の十八番といって言い、ローアングルと長回しの美学は健在。ラスト近く加藤泰のミューズである桜町弘子が登場する辺りでちょっとキレを取り戻す。長尺な上に台詞と演技過剰でさすがに疲れるが、ブレない構成力はさすがに巨匠だけはある。

しかし、ここまで「濃ゆい」「アクが強い」作風の監督というのも映画史上稀だと思う。カット割が前衛的というか、極めてフリーキー。本作はある意味、時代劇の衣を被った「映画文法の破壊」なのではなかろうか? 次作『ざ・鬼太鼓座』を観ると如何に加藤泰が日本版スタン・ブラッケージなのかが良く理解できますよ!😅
似太郎

似太郎