スギノイチ

炎のごとくのスギノイチのレビュー・感想・評価

炎のごとく(1981年製作の映画)
3.8
冒頭数秒観た瞬間に高カロリーを覚悟したが、案の定脂ぎっていた。
まず菅原文太のキャラクターがすごい。女に対する性暴力を凄まじく嫌悪し、博徒のくせに「みんなが同じことやるのが気持ち悪い」という理由で仁義も切れないなど、あまり日本映画にいない(ましてや時代劇・やくざ映画には)タイプの人物だ。
瞽女・倍賞美津子への愛情をけたたましく叫びまわる。
まるで増村保造の主人公かと見紛うほど「個」である。

おなじみローアングルこそ控えめなものの、結局別方面で構図に凝りまくるのでアート映画と化している。
国広富之ら駆け落ちカップルの顛末も残虐で、加藤泰って猟奇趣味でもあるの?と思ってしまう。
(東映バイオレンス作家の影に隠れがちだが、加藤泰作品の性暴力描写はいつもエグい)
新選組の醜態晒す『幕末残酷物語』を経て、菅原文太の狂ったような笑顔。強烈。
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