りょう

用心棒のりょうのレビュー・感想・評価

用心棒(1961年製作の映画)
4.2
 物語の構造は、洋邦のいろんな作品で模倣されているので、最初からわかっていましたが、いまさらながらはじめて観ました。
 1961年の作品にして、このエンタメのレベルは先駆的ですらあったと思います。すぐに「荒野の用心棒」でリメイクされたのも納得です。1匹狼の主人公が反社会的な勢力と駆けひきしながらたたかうという展開は、各国のエンタメ作品の基本フォーマットの1つになりました。無敵のような主人公も必ずピンチに陥り、そこから逃れて反撃するという構成も物語の起伏に不可欠です。
 主人公の桑畑三十郎を演じた三船敏郎さんは、殺陣の鮮やかさもさることながら、いで立ちや振舞いも含めて、“渋くてかっこいい”としか言えません。なんとなくダークヒーローっぽいところも魅力的です。このキャラを「椿三十郎」で再登場させたくなった制作陣の気持ちがよくわかります。
 少し残念なのが、意外と殺陣のシーンが少ないことと、日本刀の重量が感じられないところです。斬殺音がはじめて使用された作品として有名ですが、血しぶきがほとんどないので、ちょっと物足りないです。
 江戸の日本を舞台にした時代劇は、当然に日本でしか制作できませんが、その独特でエキゾチックな魅力と最先端のエンタメが融合したこの作品は、とりわけ海外で評価されていることも納得です。
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