ミシンそば

雨の午後の降霊祭のミシンそばのレビュー・感想・評価

雨の午後の降霊祭(1964年製作の映画)
3.5
かなり昔からずっと観たかった作品。久しぶりにTSUTAYAに取り寄せてもらった。

1999年には黒沢清の手によって「降霊 ~KOUREI~」としてホラー色を強めたリメイクを成されているが、本作自体にはホラー要素はほぼなく、差し詰めジャンルはクライム・サスペンスと言った趣き。

そして主演夫婦の演技合戦がこの映画の最も注目すべき点であり、自分が特別視されるべき存在だと信じて疑わない、サイコ気味の妻(と同時に死産した息子へ異常な執着を見せている)と、気弱な上に病弱で、その妻の言いなりだが妻の無茶振りにどんどん鬱憤を蓄積させてゆく夫。
二人を演じるスタンレーとアッテンボローの演技と入り込み様は凄まじく、鬼気迫るもの。

犯罪計画自体はお粗末な上に行き当たりばったり、寸でのところで救いようが欠片もない結末にならなかったと言うだけで、スタンレー演じるマイラが言うような完璧さは欠片も見当たらない。
結末は至極当然。
それでもややロマンチックな解釈をするなら、マイラにトドメを刺したのはデウスエクスマキナ染みたオカルト要素…(なのか?降霊会自体よぉ分からん)。