はぐれ

夏物語のはぐれのレビュー・感想・評価

夏物語(1996年製作の映画)
4.1
ロメールの四季の物語シリーズの第3作。フランス北西部の海岸を舞台にしたボーイミーツガールもの。

地球の裏側に旅立ってしまった彼氏の帰りを待つマルゴがめちゃくちゃ健気でかわいい。そんなマルゴと出会った主人公のガスパールがもうダメダメなやつなのよ。マルゴに対して「君は僕が素直になれる唯一の女性だ」なんて言っておきながらすぐに他の女に目移りしちゃう。いや、あんた自分でもう大正解の答えを言ってんじゃん!って何回も画面に向かってツッコんでしまった(笑)マルゴ!あんたの運命の女性はマルゴなのよって。

「君は僕といてくつろげる?」って問いかけにも「ええ、完全にね」ってサルでもわかる脈ありのシグナルをマルゴからもらってるのよ。それなのに他の性悪女に手を出してしまう弁護のしようのないクズ(笑)なぜゆえにあんな自己中女のソレーヌやレナなんかに惹かれるんだろう?まあ恋とはそれ自体が狂ってものだからこうなっちゃう方が人間として正しいのかもしれないけど。

なんか全ての選択肢を間違えた恋愛シュミレーションゲームを見ているみたいな錯覚。様々な偶然が重なり究極の選択を何度も迫られるんだけどガスパールが自分可愛さからいい格好をしようとしてどの娘にも非情になれない。哀しくてエゴイスティックでグロテスクな男の性だよね。大悪とは少善に似たり。大善とは非情に似たり。本当に相手のことを想っているなら非情になってスッパリと振ってあげないと。

「本当の友情とは愛以上のものよ」。煮え切らないどんな恋バナにも親身になって付き合ってくれるマルゴ。あんな娘と永遠に北仏の海岸を一緒に歩きたいよあたしゃ🤦
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