真鍋新一

暗黒街大通りの真鍋新一のレビュー・感想・評価

暗黒街大通り(1964年製作の映画)
3.8
長男・高倉健、次男・梅宮辰夫、三男・待田京介の、かなり無理のある三兄弟。でもカッコいいから良い。悪役は安部徹と金子信雄なので、監督も井上梅次だし、なんだ日活の映画と同じかと思っていると、東映になると彼らの悪どさのレベルが段違いになるので良くない(面白い)。

3人の主人公にそれぞれ三田佳子、中原早苗、緑魔子と3人のヒロインがついて、平等に話が展開していくのが楽しい。中身が大事なのは当然として、その小気味良い語り口そのものが楽しいところもある。特に初登場シーンからずっと素晴らしかったのは緑魔子。待田京介とのラヴシーンはかなり激しく、そして2人ともカッコいいので事後にタバコを吸う短いカットは洋画のような風格さえある。

健さんが寡黙なキャラなのはすでにこの時確立していて、我慢に我慢を重ねたうえで感情を爆発させる演出が相変わらず最高なのだが、恋愛面で感情が爆発する健さんはちょっと珍しく、それ自体がひとつの見せ場になっていた。

辰ニイはやはりこの時点でスケコマシキャラが定着しており、序盤で中原早苗に警戒されまくるのが面白い。みんなタイプキャストじゃないかと思われるかもしれないが、それこそがスター映画の醍醐味じゃないのと思う。中弛みせずに観たいものをバンバン出していくサービス満点のスタイル。こういう映画は1本でも多く観たい。
真鍋新一

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