マーくんパパ

男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎のマーくんパパのレビュー・感想・評価

3.8
シリーズ第33 作、マドンナはフーテンの風子こと中原理恵。冒頭夢シーンでは珍しくさくら博等寅さん家族が出演しない港のマリー(中原)編。堅気になって安食堂やってる登(秋野大作)や『幸福の黄色いハンカチ』逆バージョンのような逃げられた女房を追うネクラ男(佐藤B 作)を挟みながら、釧路で出会った堅気の仕事が長続きしないフーテン暮らしの風子と出会う。今回は風子を自分と同じようなやさぐれ稼業の道から堅気の世界に戻したいと案ずる恋とは別の心情を全面に出した所がハイライト。堅気を邪魔するサーカスオートバイ曲乗りトニー(渡瀬恒彦)との渡り合いはいつもの寅さんとは異質の渡世人の仁義で隠れた凄みを感じるシーン。自由なフーテン稼業に憧れ「私、寅さんがもう少し若かったら寅さんと結婚するのに」とまで言っていた風子が寅さんの心配する温情は分かりきってるのにお節介を嫌って飛び出して行く。「不幸せになる事がわかっていてもどうしようもなかったのね、風子さんは」とさくらに言わしめシミジミとした哀感出して、結局地元に帰り理容師の地味な目立たない男と結婚する事になり寅さんの願いが通じた事を便りで知る結末。ここで終わって欲しかったのに余分な現地結婚式に呼ばれるさくら博と寅さん熊騒動は哀感途切れてやや残念。マドンナの扱いを工夫し続ける努力の脚本作り、頭が下がります。30作超えても飽きずに観られる内容でした。